2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞の増殖・生存を保証するRNA結合タンパク質RBM42の解析
Project/Area Number |
23770199
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内木 隆寛 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70420081)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | RNA結合タンパク質 / 細胞周期 |
Research Abstract |
RBM42は、RNA結合ドメインをもつタンパク質である。RBM42ノックダウン細胞の細胞増殖に欠陥を示すが、RBM42の作用機序は不明であった。 本年度、RBM42ノックダウン細胞の細胞周期への関与を検討した結果、BM42ノックダウン細胞は、G1期からS期への進行に欠陥を示すことが明らかになった。RBM42ノックダウン細胞では、G1期の初期に働くサイクリンDの発現に変化は見られなかったが、S期の進行に必要なサイクリンEの発現低下が確認されたことから、RBM42は、G1後期に機能することが予想された。RBM42がサイクリンE mRNAの安定性制御を介して、細胞周期制御する可能性を検討したが、サイクリンE mRNAの半減期の変化はみられなかった。次に、サイクリンEの転写に関与する因子についてRBM42ノックダウンの影響を検討したところ、サイクリンEの転写を活性化するE2Fの発現がRBM42ノックダウン細胞において顕著に低下することが明らかになった。さらに、RBM42ノックダウン細胞では、E2Fの標的遺伝子であるヌクレオチド代謝系酵素(DHFR, TYMS, TK1)やDNA複製制御因子(ORC1, CDC6)の発現も低下することが明らかになった。従って、RBM42は、E2Fの制御を介してG1後期からS期へかけて機能すると考えられる。 hnRNPKは、RBM42と結合するRNA結合タンパク質である。RBM42と同様にhnRNPKの細胞増殖への関与を検討した結果、hnRNPKノックダウン細胞も細胞周期の進行に欠陥を示すこと、E2F、及び、E2Fの標的遺伝子の発現が低下することが明らかになった。これらの結果から、2つのRNA結合タンパク質、RBM42とhnRNPKが、mRNA制御を介して細胞周期のG1期からS期への進行を制御することが考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、RBM42の細胞周期調節における作用点の解析に時間を費やしたために、RBM42によるアポトーシス制御の解析がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
細胞増殖におけるRBM42の機能については、E2Fの制御について、当初の計画どおり、mRNAの制御に着目して、分子メカニズムの解析を行う。また、RBM42自身の制御に関して、G1期からS期へかけて、細胞内局在の変化やリン酸化などの修飾に着目して解析を進める。また、昨年度の解析では、RBM42と結合するhnRNPKの細胞増殖への関与も明らかになったので、RBM42と同様に作用機序の解析を進める。 RBM42によるアポトーシス制御については、XIAP mRNAの制御について詳細を解析するとともに、RBM42自身の制御に関して、アポトーシスが引き起こされるようなストレス存在下におけるRBM42の細胞内局在の変化やリン酸化などの修飾に着目して解析を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞増殖におけるRBM42の機能解析については、細胞培養のための器具、試薬、siRNA関連試薬、生化学的解析や局在解析に用いる抗体、mRNAの結合解析用in vitro RNA関連試薬に研究費を使用する。 前年度に予定していたアポトーシス制御の解析を本年度行うため、細胞培養のための器具、試薬、siRNA関連試薬、アポトーシス検出試薬、カスパーゼ阻害剤などの試薬、mRNAの結合解析用in vitro RNA関連試薬に、繰り越した研究費を使用する。
|