2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の増殖・生存を保証するRNA結合タンパク質RBM42の解析
Project/Area Number |
23770199
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内木 隆寛 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70420081)
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Keywords | RNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
RNA結合タンパク質による転写後制御は、生命活動において重要な役割を果たす。本研究では、2つのRNA結合タンパク質RBM42とhnRNPKの細胞増殖における機能を解析した。前年度の解析結果から、RBM42ノックダウン細胞とhnRNPKノックダウン細胞では、細胞周期のG1期からS期への移行に遅れがみられることが明らかになっていた。 今年度、S期への移行に重要な働きをもつ転写因子E2Fに着目して解析を行った。マイクロアレイと定量PCRによる解析の結果、hnRNPKノックダウン細胞では、E2F、および、E2Fの標的遺伝子の発現量の低下が確認できた。E2F mRNAの半減期を測定した結果、hnRNPKノックダウン細胞では、E2F mRNAの分解が早く起きることが明らかになった。さらに、E2Fの3’UTRとルシフェラーゼの融合遺伝子を用いて解析した結果、細胞内在性のE2Fと同様に、hnRNPKノックダウン細胞では、E2F 3’UTRをもつmRNAは発現量が低下した。また、hnRNPKとE2F mRNAとの結合も確認できた。E2F mRNAの3’UTRには、mRNA分解に関与するARE配列が存在することから、hnRNPKは、E2F mRNAに結合して、ARE配列依存的なmRNA分解からE2F mRNAを保護することにより、細胞周期のG1期からS期への移行に関与すると考えられる。 RBM42ノックダウン細胞では、部分的にしかE2Fの標的遺伝子の発現量の低下は確認できず、また、E2Fの発現低下もほとんど観察されなかった。S期で機能する遺伝子のいくつかに発現低下は見られたこと、RBM42のRNA結合ドメインは細胞増殖に必要であることから、E2F以外の標的mRNAの制御を介して細胞周期の進行に必要な役割を果たすと考えられる。
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