2011 Fiscal Year Research-status Report
内在性小分子siRNA前駆体の成熟化プロセスの解明
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23770210
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
三好 智博 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (60534550)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | siRNA / 小分子RNA / RNAサイレンシング / miRNA / non-coding RNA / プロセシング / Dicer |
Research Abstract |
RNAサイレンシングは、小分子RNAが関与する塩基配列特異的な遺伝子発現制御機構であり、細胞の増殖、発生、分化といった多くの生命現象の発現・調節に関わる必須の生体メカニズムである。本機構に関わる約20塩基長の小分子RNAは、細胞内の長鎖RNAから、Dicer(RNA切断酵素)によって短く切断され成熟化する。この小分子RNAの生合成に関わるタンパク質は、複合体を形成し複雑且つ巧妙にRNAのプロセシングを行う。近年、医学分野において、小分子RNAが備える遺伝子発現制御機構を応用した疾患治療・診断に関わる研究が盛んに行われているが、このメカニズムの詳細は未だ明らかになっていないものが多い。特にタンパク質複合体が持つRNA認識メカニズムは、不明のままである。本研究の目的は、小分子RNA生合成機構におけるタンパク質複合体のRNA認識メカニズムを解明することにより、医学分野の研究発展に貢献することである。 RNAサイレンシングの中心的な役割を果たすのは、RNAを切断する活性を持つタンパク質複合体である。この複合体のRNA認識機構を詳細に調べることにより、小分子RNA塩基配列精選システムを明確にする。現在私は、タンパク質-RNA複合体の構造生物学的なアプローチにより解析を進めている。 本実験の遂行には、大量のタンパク質が必要であり、大腸菌を用いて大量に発現させる必要がある。しかし、大腸菌の中で、真核生物の活性を保持したタンパク質を発現させることは、困難である。平成23年度は、様々なRNAサイレンシングに関わる真核細胞特異的なタンパク質の発現に関して探索を行った。その結果、数種類のタンパク質の機能ドメインにおいて、大腸菌における真核細胞特異的なタンパク質の発現とその活性を確認することに成功した。現在、このサンプルを用いて、構造生物学的解析の次のステップに進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNAサイレンシングの中心的な役割を果たすのは、RNAを切断及び結合活性を持つタンパク質複合体である。当研究の目標は、この複合体のRNA認識機構を詳細に調べることにより、小分子RNAをトリガーとするRNAサイレンシングメカニズムを明確にすることである。 この研究では、タンパク質複合体のX線結晶構造解析を行うため、機能を保持したタンパク質を大量に必要とする。複合体形性能を持つヒトのタンパク質が、既に数種類得られることを確認が出来たことから、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAサイレンシングは、小分子RNAを中心とした分子機構であるが、RNA単独で機能するわけではなく、タンパク質複合体に小分子RNAが取り込まれることにより、その機能を誘発している。このメカニズムの詳細を明らかにするためには、RNAタンパク質複合体のRNA認識機構の全貌を明確にする必要がある。 平成23年度の実験により得られた、大腸菌で発現することができる真核細胞のタンパク質について、結晶構造解析を進めていく。結晶作製のためのスクリーニング条件を検討し、質の良い結晶を作製する。さらに、得られた結晶にX線を照射することにより回折データを得る。その後、立体構造計算を行うことで、立体構造を決定していく予定である。さらに、生化学実験を行うことで、立体構造が決定されたタンパク質の機能面について議論を深める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究テーマを遂行する上で、必要な研究施設(RI実験室等)や大型機器類は全て揃っている。よって、平成24年度の研究費の使用計画は、前年度と同様、主に研究を遂行する上で必要な一般消耗品である。 上記の研究費の使用以外に、学外放射光施設を使用に伴う交通費、宿泊費等の支出が予想される。さらに、学会発表(日本分子生物学会、日本RNA学会)のための旅費や、論文投稿に必要な英文校閲費を予定している。
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Research Products
(3 results)