2011 Fiscal Year Research-status Report
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23770216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 敬 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (50373270)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | オートファジー / 膜輸送 / Rab / Rab-GAP |
Research Abstract |
細胞内自食作用であるオートファジーは、オートファゴソームという特殊なオルガネラを形成するダイナミックな膜の動態を示すが、その膜動態の制御メカニズムの詳細は未だ明らかになっていない部分が多い。本研究課題では、細胞内膜輸送を制御する低分子量Gタンパク質Rabに着目することで、オートファジーにおける膜動態制御の分子メカニズムを解明することを目的としている。Rabの不活性化因子(Rab-GAP)はRabの活性を負に制御することで、膜輸送を制御する因子である。このRab-GAPの網羅的なスクリーニングを行なった結果、オートファジーのマーカータンパク質であるLC3と明瞭な共局在を示すものを2つ(OATL1/TBC1D25, TBC1D2B)、部分的な共局在を示すものを4つ(TBC1D5, TBC1D11, TBC1D15, TBC1D17)を同定することが出来た。オートファゴソームに局在するRab-GAPの同定は世界に先駆けたものであり、これらのRab-GAPがオートファジーに於ける膜輸送を制御する可能性は高いと考え、解析を続けた。このうちOATL1に関しては、細胞に過剰発現することで、オートファゴソームの成熟過程である、オートファゴソームとリソソームの融合を阻害することを見いだし、本研究課題に先駆けて論文発表を行なった。本年度はTBC1D2Bを中心に研究を行い、オートファゴソーム局在に必要なアミノ酸残基の同定や、TBC1D2BがLC3と直接的に結合することなどを見いだした。これらTBC1D2Bタンパク質の性質に関する知見は、TBC1D2Bのオートファジーへの関与を明らかにする上で非常に重要であり、新しい膜輸送機構を明らかにする足がかりになると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災の影響で、多くの実験材料や、実験器具が失われ、実験の遂行に支障があったため。また、OATL1とは異なりTBC1D2Bは、過剰発現やsiRNAによる発現抑制を行なってもオートファジーに影響が見られなかった。この結果の再現性を調べることや、培養などの条件の検討に多くの時間を使ってしまい、思ったように研究が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
TBC1D2Bに関しては現在、オートファジーへの影響を判断することが出来ていないが、それは現在研究に用いている系が、飢餓誘導によるオートファジーを判断基準に採用していることが原因である可能性がある。そこで、異なる形態のオートファジーに於けるTBC1D2Bの機能を検討する。具体的には、恒常的におこっている基底レベルのオートファジーや、細菌侵入時に活性化されるオートファジーである。また、現在はマウス胎生線維芽細胞(MEF)を実験材料に用いているが、細胞を変更することも検討する。TBC1D2BはRab7のGAPであるという報告があり、実際Rab7に対するGAP活性は確認することが出来た。Rab7はオートファゴソームとリソソームとの融合に機能しているという報告もあるため、このRab7の機能、発現量が高い細胞を選ぶことで、TBC1D2Bによる影響を明瞭にできると考えている。また、本年度はあまり時間が取れなかったが、部分的にLC3と共局在するRab-GAPの解析を合わせて進めていきたい。LC3との部分的な共局在は、オートファゴソームというよりもむしろ隔離膜に局在する可能性を示唆しているため、まずはRab-GAPの局在を隔離膜マーカータンパク質の局在と比較するなど、詳細に検討する。また、OATL1などと同様に過剰発現やノックダウンによる発現抑制を行なったときのオートファジーへの影響を検討する。もし隔離膜に局在していると、オートファゴソームの成熟ではなく、形成過程に関与している可能性が高いので、形成に焦点をあて解析を行なう。また、基質となるRabが同定されていないものに関しては、基質となるRabを同定する方向で研究を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度と同様、遺伝子工学用試薬、細胞培養用試薬、生化学用試薬などの購入、成果発表のための旅費、等に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Atg16L2, a novel isoform of mammalian Atg16L that is not essential for canonical autophagy despite forming an Atg12-5-16L2 complex.2011
Author(s)
Ishibashi, K., Fujita, N., Kanno, E., Omori, H., Yoshimori, T., Itoh, T. and Fukuda, M.
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Journal Title
Autophagy
Volume: 7
Pages: 1500-1513
DOI
Peer Reviewed
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