2012 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質の輸送と品質管理を制御する分子ネットワークの解明
Project/Area Number |
23770217
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水野 智亮 筑波大学, 医学医療系, 助教 (80529032)
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Keywords | 細胞内情報伝達 / キナーゼ / ストレス応答 |
Research Abstract |
正常に機能する膜タンパク質・分泌タンパク質を産生するため、小胞体に運び込まれるタンパク質の種類・量を決める小胞体輸送機構と小胞体から運び出されるタンパク質の品質を確認する品質管理機構は重要である。申請者は、出芽酵母を用いた分子遺伝学的解析から、Kin1、Kin2、Ire1、Hac1がタンパク質の小胞体輸送と品質管理を制御する可能性を見出してきた。そこで本研究ではこれらの因子がどのような分子メカニズムでタンパク質の小胞体輸送と品質管理を制御しているか明らかにすることを目的とした。前年度の解析から、Kin1・Kin2の小胞体ストレス応答における機能は、Ire1-Hac1経路を介していないこと、および、キナーゼ活性に依存していることを明らかにした。また、kin1kin2二重変異株の小胞体ストレス感受性表現型に対するマルチコピーサプレッサーとして10遺伝子を同定した。本年度は、Kin1・Kin2の周辺で機能する因子を明らかにするための解析を継続した。まず、前年度同定したkin1kin2二重変異マルチコピーサプレッサーについて破壊株を作製し、小胞体ストレス感受性を調べた。しかしながら、いずれの遺伝子も単独破壊株は顕著な小胞体ストレス感受性を示さなかった。このことから、Kin1・Kin2の下流では複数の因子が重複して機能することが予想される。そこで、Kin1・Kin2の周辺で機能する因子を明らかにするための別のアプローチとして、kin1kin2二重変異と合成致死を示す変異の分離を試みた。その結果、高温においてkin1kin2二重変異と合成致死を示す変異体を1系統分離することができ、さらにこの合成致死を抑圧する遺伝子として転写因子をコードするDAL81を同定した。このことから、Kin1・Kin2はDal81の上流、もしくはDal81と協調して遺伝子発現を制御していると考えられる。
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Research Products
(2 results)