2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23770219
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
倉橋 洋史 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60508357)
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Keywords | プリオン / 蛋白質 / アミロイド / 脳神経疾患 / 感染症 / 酵母 / GET pathway |
Research Abstract |
狂牛病で知られるプリオンは、タンパク質のみで感染性を持つユニークな感染体である。その実体は、プリオンタンパク質PrPが作る特殊な構造のアミロイド線維である。同様に単細胞真核生物の酵母にも、タンパク質のみから成る感染性粒子、酵母プリオンが存在する。本研究では、酵母プリオンを利用して、細胞がプリオンを制御する分子メカニズムの解明を目的とする。 今年度は、酵母プリオンを阻害する因子のスクリーニングを行うことにより、Lsm4タンパク質と異常型膜タンパク質(Dip5変異タンパク質)が酵母プリオンの阻害因子であることを明らかにした。Lsm4タンパク質はmRNAのスプライシングや分解に関わる。このLsm4タンパク質はアミロイド線維を形成することが、プリオン阻害に必要であった。一方、Dip5の正常型タンパク質は本来、細胞膜に局在して膜輸送に働く。この変異型膜タンパク質であるDip5変異タンパク質は小胞体に局在していた。Dip5変異タンパク質が小胞体ストレスを起こして小胞体関連分解(ERAD)が誘導されていると予想されたが、小胞体ストレスは起きていなかった。一方、GET経路はTA膜タンパク質の膜挿入に重要な役割を持つ。このGET経路の一つの遺伝子、GET3の破壊株ではDip5変異タンパク質の小胞体への局在が乱れ、同時にプリオン阻害活性を失った。このことから、GET経路は複数回貫通型膜タンパク質の膜挿入に必要であること、及び、異常型膜タンパク質が小胞体に捕捉されることが、プリオン阻害に重要な役割を持つことが示された。
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