2012 Fiscal Year Annual Research Report
アクチン細胞骨格マスター制御因子MRTFの新規活性制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
23770225
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森田 強 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80403195)
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Keywords | 細胞骨格 / ガン / 転写因子 / 平滑筋分化 |
Research Abstract |
Myocardinファミリータンパク質は転写因子SRFの活性を促進する共役因子であり、心筋・平滑筋特異的な発現を示すmyocardin(myocd)と、様々な組織で広く発現が確認されるmyocardin-related transcription factor (MRTF)が存在する。myocdが心筋や平滑筋の分化形質獲得において重要な役割を果たす一方、MRTFは非筋肉細胞においてアクチン細胞骨格や細胞運動の制御を行っている。近年、これらのタンパク質がガンや肉腫の悪性化や腎臓の繊維化などに関与していることが報告され、その活性制御機構の詳細な解明が望まれている。 MRTFは主に細胞質に存在しているが、外部からの様々な刺激により核内へと移行し転写調節因子としての機能を果たす。本研究により、MRTFの細胞内局在を制御する新規の因子としてTb4タンパク質を見いだした。細胞質中のMRTFはアクチンと結合することで核移行が抑制されている。Tb4はアクチンと結合することによりMRTF/アクチン複合体の形成を抑制しMRTFの核移行を促進するMRTF/SRFシグナルの活性化因子であった。 MRTFとは異なりmyocdはアクチンとの結合が非常に弱く常に核内に局在している。本研究により、myocdがアクチンの代わりにアクチンと相同性の高いactin-related protein 5 (Arp5)と結合することが明らかになった。核内においてArp5はmyocdと結合しその活性を抑制していた。平滑筋細胞ではArp5の存在量が非常に低く抑えられており、そのためmyocdの活性が常に高く保たれていた。以上のように、本研究課題によりmyocdファミリータンパク質の新しい活性制御メカニズムが明らかになった。特に、Tb4は既にガン悪性化との関与が指摘されている因子であり更なる詳しい解析が期待される。
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Research Products
(6 results)