2011 Fiscal Year Research-status Report
アクチンカップ形成におけるEFC/F-BARタンパク質であるFBP17の役割
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23770228
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
辻田 和也 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命助教 (10457054)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | F-BAR domain / アクチン細胞骨格 / 細胞膜 / phagocytosis |
Research Abstract |
本研究の目的は細胞膜動態とアクチン重合の協調的な制御機構を明らかにし、アクチンカップ形成におけるチューブ膜依存的なアクチン重合の制御機構を統合的に理解することである。このことを明らかとするため、本年度は以下の研究を行った。(1)FBP17に結合するタンパク質を質量分析法を用いて同定する。(2)アクチンカップ形成時におけるFBP17の挙動をタイムラプス顕微鏡で観察する。(3)FBP17によるチューブ膜構造依存的なアクチン重合の試験管内再構成実験行う。(1)についてFBP17の部分コンストラクト(全長、EFC/F-BARドメイン、SH3ドメイン)を用いて細胞溶解液を用いたPull down法を行い、質量分析法により結合タンパク質を同定した。結果SH3ドメインに結合しうる候補タンパク質を多数同定できた。興味深いことに同定されたタンパク質の多くはアクチン細胞骨格に関係するものであった。(2)の実験によりFBP17は初期のアクチンカップ形成部位にリクルートしてくることが明らかとなり、FBP17はアクチンカップ形成時の初期段階のアクチン重合に必要であると考えられた。(3)の実験により、世界で初めてFBP17が誘導するチューブ膜に限局してアクチン重合が活性化していることを明らかにすることができた。この結果はFBP17が誘導する細胞膜の陥入構造がアクチン重合の足場として機能していることを示唆し、非常に重要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究のもっとも重要な実験であるFBP17によるチューブ膜構造依存的なアクチン重合の試験管内再構成実験が成功したからである。本実験により、In vitroにおいてはほぼ目的を達成したことになる。また他の実験計画も上記のとおり計画通り進行したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は申請書通り以下の研究を行う予定である。(1)FBP17に結合するたんぱく質を解析する。同定されたタンパク質が直接的または間接的に結合するのか、またはFBP17の膜変形能、アクチン重合活性に影響あるか調べる。(2)アクチンカップ形成時におけるFBP17の細胞膜変形活性(チューブ形成活性)とアクチン重合活性の協調性の意義をin vivoで解析する。内在性のFBP17をRNAi法でノックダウンし、その野生型及び各種変異体を発現させる機能回復(レスキュー)実験を行い、比較検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用予定の助成金が生じたが、これは本年度の研究において研究計画が成功し非常にスムーズに進んだためである。次年度は比較的高価なRNAi法に用いるsiRNAs、それらを細胞に導入する導入試薬、遺伝子導入試薬、タンパク質精製試薬等が必要なので、当該研究費を次年度に組み込む予定である。またこれら以外にも細胞培養に使用する培養器具や国内学会、海外学会に必要な旅費が必要である。
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Research Products
(2 results)