2011 Fiscal Year Research-status Report
マウス初期胚発生に伴うヘテロクロマチン形成の分子基盤
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23770235
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
平谷 伊智朗 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教 (40583753)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生物・生体工学 / 遺伝子 / ゲノム / 発生・分化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マウス初期胚発生時の着床後エピブラストに相当する時期に起きるヘテロクロマチン形成の分子基盤の解明である。これまでの解析より、この時期に常染色体上に点在して形成される条件的へテロクロマチンはその形成時期および様式を雌X染色体不活性化と同じくすることから、両者の分子基盤の少なくとも一部は重複する可能性があると考えた。これを踏まえ、戦略としてまず、(1)簡便に検出可能な雌X染色体不活性化に関与する遺伝子群の網羅的スクリーニングを試み、次に、(2)(1)で得られた遺伝子リストから常染色体のヘテロクロマチン化にも関与する因子を同定することを目指した。材料には雌EC(Embryonic Carcinoma)細胞株MC12を採用した。MC12は多能性を持つ細胞でありながら不活性X染色体を持つ点で三胚葉に分岐する直前のEpiSC細胞によく似ており、不活性X染色体を形成して間もない発生段階のよいモデルとなり得るし、その不活性Xにのみ存在するHprt+アレルのお陰でX染色体不活性化状態を指標とした薬剤選択が可能だからである。昨年度は、前述(1)の網羅的スクリーニング実験系の最適化を行った。具体的には、レンチウイルスのゲノムワイドshRNAライブラリーを用いて、ウイルス調整から感染およびスクリーニングの系の最適化を行った。一方、薬剤選択の利点を生かして不活性Xが維持されたMC12クローンおよび解除されたクローンを複数得て、遺伝子発現解析を行い、不活性X染色体を持つMC12特異的に発現の高い遺伝子をリストアップした。これらを条件的ヘテロクロマチン形成に関与する候補と見立て、siRNAノックダウンによる表現型を観察中である。また、MC12のゲノムワイドDNA複製タイミング解析を行って階層的クラスター分析した結果、実際にMC12がEpiSC細胞に非常に近い細胞状態であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を一部変更してゲノムワイドshRNAライブラリーの会社を変えたことで最適化に時間を要したものの、全体としては当初の計画に近い形で研究は進行しており、まもなく実際のshRNAスクリーニングに入る。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまずは計画通りにゲノムワイドshRNAライブラリーを用いたスクリーニングに入る。HATによる薬剤選択によって生存する(=不活性Xが再活性化された)細胞に導入されたshRNA配列を同定するわけだが、想定される問題としては生存細胞数が非常に多いか非常に少ない、という大きく2つの可能性がある。前者の場合は次世代シークエンサーを用いたハイスループットな方法を採用し、後者の場合は個別の細胞クローンを調べていく。候補遺伝子群が得られれば、当初の計画通り順次個別の遺伝子の機能解析に入る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画を一部変更してゲノムワイドshRNAライブラリーの会社を変えたことで最適化に時間を要したため、初年度の支出が交付申請書に記載の額よりも少なくなったが、全体としては当初の計画に近い形で研究は進行しており、まもなく実際のshRNAスクリーニング実験に入るため、次年度使用額はこれに当てる。
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Research Products
(4 results)