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2012 Fiscal Year Research-status Report

指の発生におけるPFRの細胞群の動的な作用機序の解明

Research Project

Project/Area Number 23770244
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

鈴木 孝幸  名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40451629)

Keywords指の個性 / 指間部 / BMP / ニワトリ / PFR / 肢芽 / 発生
Research Abstract

昨年度までの研究で、指が発生する時には指原器の先端の細胞群が重要であり、この細胞群に指間部からのBMP(骨形成成長因子)のシグナルが特異的に入る事が分かりました。そして私はこの細胞群をPFR(phalanx forming region)の細胞群と名付けました。PFRの細胞群は前軟骨凝集塊のマーカー遺伝子であるSox9が発現していました。また指骨の軟骨分化に必須なBMPR1bというBMPシグナルの受容体が特異的に発現し、指骨形成の最も初期のシグナルがPFRの細胞群に伝達されている事が分かりました。
本研究ではPFRの細胞群は驚くべき事に後側からのシグナルにしか反応しないと言う特性を持っている事が分かりました。分泌タンパク質にEGFPを連結させた発現ベクターをニワトリ胚の後肢の指間部に発現させると、その領域から指間部の前側のみに分泌因子が拡散している事が分かりました。このような結果からPFRの細胞群が後側の指間部からしかシグナルを受け取れない原因は、指間部において後側から前側にかけて液性因子の流れがあることが判明しました。この中にBMPをはじめとする分泌タンパク質が含まれていると考えられます。さらに指間部に発現するBMPシグナルが後側から前側の指原器に作用することで、BMPR1bの発現が誘導される事が分かりました。BMPの阻害タンパク質であるNogginをしみ込ませたビーズを移植しBMPシグナルを遮断すると反対にBMPR1bの発現は減少しました。またSox9の発現も同様の傾向である事が分かりました。以上の様な結果から、指間部に発現するBMPシグナルにより、指骨になるためのSox9やBMPR1bの発現がPFRの細胞群において誘導され、指骨と指骨の個性が特徴付けられていくことが分かりました。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の研究目的であるPFRの細胞群がどのようなメカニズムで指間部からシグナルを受け取っているのかについて解析を行い、後側の指間部からのみシグナルを受け取っているという動作実態の解明に成功した。またこの原因として、指間部での液性因子の流れが後側の指間部から前側にかけて存在するという驚くべき結果を得た。これらの結果は当初予定していた計画以上の成果であった。
しかしながら、東日本大震災の影響で、東北大学加齢医学研究所にある3次元スキャナーであるOPTスキャナーを用いた実験を行うことのみ出来なかった。当初の計画ではOPTスキャナーを用いてPFRの細胞群の形状の3次元解析をする予定であったがこれが出来なかったために、現段階での達成度をおおむね達成出来た、とした。また解析に用いるOPTスキャナーの使用料金を支払うために本研究費を次年度まで繰り越すことにした(約30万円)。

Strategy for Future Research Activity

東北大学加齢医学研究所にある3次元スキャナーであるOPTスキャナーを用いてPFRの細胞群の形状の3次元解析を行う。これまでの実験では切片でのin situ hybridization法によるPFRの細胞群の観察を行って来たが、3次元レベルで指原器のどの場所にPFRの細胞群が分布しているのかを解析したいと考えている。さらに指間部に発現するBMPシグナルによってBMPR1bの発現が誘導されるのであれば、BMPR1bの発現レベルもOPTスキャナーを用いて3次元レベルで発現の強度を計測したいと考えている。このデータが得られたら論文を投稿する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

東北大学加齢医学研究所にあるOPTスキャナーを用いたPFRの細胞群の形状を解析するための機器の使用料金として使用する。またサンプル準備のための人件費、ニワトリの有精卵の購入代金に使用する。有精卵を孵卵させて指原器が発生する段階でニワトリ胚を固定し、in situ hybridizationを行うための消耗品の試薬を購入するために使用する。

  • Research Products

    (6 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] How is digit identity determined during limb development?2013

    • Author(s)
      Takayuki Suzuki
    • Journal Title

      Development Growth and Differentiation

      Volume: 55 Pages: 130-138

    • DOI

      10.1111/dgd.12022

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 発光顕微鏡を用いた肢芽におけるMorphogenシグナルの定量化と形態形成2012

    • Author(s)
      鈴木孝幸
    • Organizer
      第85回日本生化学会大会
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場(福岡)
    • Year and Date
      20121214-20121216
    • Invited
  • [Presentation] Quantification and visualization of morphogen activity in the developing chick limb bud2012

    • Author(s)
      Takayuki Suzuki
    • Organizer
      7th International Chick meeting
    • Place of Presentation
      名古屋大学野寄記念学術交流館(愛知)
    • Year and Date
      20121114-20121118
  • [Presentation] Expression timing of Gdf11 determines hindlimb position in vertebrates2012

    • Author(s)
      Takayuki Suzuki
    • Organizer
      12th International conference on Development and Regeneration
    • Place of Presentation
      Mont-tremblant (Quebec, Canada)
    • Year and Date
      20120603-20120607
  • [Presentation] Mechanisms of the PFR that responds to only posterior interdigits in the chick limb2012

    • Author(s)
      Takayuki Suzuki
    • Organizer
      45th Annual Meeting of the Japanese Society of Developmental Biologists
    • Place of Presentation
      神戸国際会議場(兵庫県)
    • Year and Date
      20120528-20120531
  • [Remarks] Developmental Morphogenesis

    • URL

      http://bunshi5-bio-nagoya-u.businesscatalyst.com/index.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

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