2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23770245
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中川 俊徳 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50456894)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 幹細胞 |
Research Abstract |
ほ乳類において、精子の恒常的産生は精子形成幹細胞により保証されている。しかし、その幹細胞性を制御する遺伝子はほとんど明らかにされていない。本研究では、精子形成幹細胞の純化とそれを利用した幹細胞特異的遺伝子の探索と機能解析をおこない、マウス精子形成幹細胞の維持を制御する分子基盤の解明を目的とする。本年度では以下のような成果を得た。(1) 精子形成幹細胞を高度に濃縮し、分取する実験系の構築一部の未分化型精原細胞に発現するとすでに報告されている表面タンパク質、未分化型精原細胞に発現が報告されているもののその一部に発現しているか否か詳細に検討されていない表面タンパク質、造血系などの他の組織幹細胞で発現する表面タンパク質について発現を検討した。その結果、いくつかの遺伝子が一部の未分化型精原細胞に発現していることを確認した。また、それらの詳細な発現解析から、精子形成幹細胞を濃縮できると強く示唆される表面タンパク質が見出された。(2) 幹細胞分画に特異的もしくは高発現する遺伝子の網羅的検索(1)で見出された表面タンパク質が陽性と陰性の未分化型精原細胞をセルソーターにて分取した。それらの分画を用いて、精子形成幹細胞が濃縮される分画に特異的な発現を示す遺伝子をマイクロアレイにて解析した。現在マイクロアレイのデータを解析中であるが、精子形成幹細胞分画には、既知の精子形成幹細胞の維持に必須の遺伝子の発現が高いことから、計画通り実験が進捗していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画は以下の2つであるが、概ね達成している。(1)精子形成幹細胞を高度に濃縮し、分取する実験系の構築 様々な表面タンパク質の詳細な発現から、精子形成幹細胞を濃縮できるものを見出すことができた。またそれを使ってセルソーターにて細胞を分取することができた。(2)幹細胞分画に特異的もしくは高発現する遺伝子の網羅的検索 (1)で構築した実験系をもとに、細胞を分取し、マイクロアレイにて網羅的に精子形成幹細胞特異的な発現を示す遺伝子を検索し、候補となる遺伝子を複数同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の計画通りに研究を行う。すなわち、以下のように研究を進める。(1) 精子形成幹細胞の培養系を用いた、前年度で見出された遺伝子の機能解析を行う。培養精子形成幹細胞を用いて、候補遺伝子に対してloss of function およびgain of fucntionの実験を行い、維持への影響を検討する。具体的には、siRNAやdoninant negative体を用いて、機能阻害実験を行う。また、機能阻害した培養細胞を精巣へ移植し、幹細胞活性への影響を検討する。同様に、候補遺伝子のcDNAを強制発現させ影響を調べる。(2) (1)で見出された遺伝子のノックアウトマウスを用いた解析、およびその準備を行う。(1)で幹細胞維持に影響のあった遺伝子のノックアウトマウスが入手できれば、直ちに成体における精子形成や幹細胞維持への影響を検討する。また入手できない場合、候補遺伝子のノックアウトマウスの作製準備を行う。BACリコンビネーション技術を用いて、迅速にターゲッティングベクターを作製する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、前年度に見出された遺伝子の機能を解析するために、プラスチック器具類、分子生物学関連、細胞培養関連、実験用動物の購入に研究費を使う。また、情報収集のための旅費などに使う。
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