2012 Fiscal Year Annual Research Report
着床前胚の位置依存的なHippo経路制御機構の解明
Project/Area Number |
23770265
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
平手 良和 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (70342839)
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Keywords | 細胞分化 / Hippo経路 / 細胞接着 / Angiomotin / カドヘリン / カテニン / マウス / 着床前 |
Research Abstract |
着床前マウス胚の細胞は、細胞が胚の内側に位置するか、外側に位置するかで異なる運命決定を受ける。本研究は、この位置依存的な細胞運命決定機構の分子基盤であるHippo経路に注目し、Hippo経路が位置依存的に活性化される機構の解明を目指して実施された。前年度までの成果から、内側に位置する細胞では、接着面に局在する接着関連分子Angiomotin (Amot)が細胞接着依存的にHippo経路を活性化するのに対し、外側に位置する細胞では、細胞極性がAmot分子を接着面から排除することで、細胞接着によるHippo経路活性化を阻止していることを突き止めている。 H24年度は、このAmotによるHippo活性化経路(細胞接着→Amot→Hippoコア経路)を構成する分子群、及び、その分子間相互作用の解明を目的として研究を実施した。その結果、Amotは接着結合を構成するE-カドヘリン-βカテニン-αカテニン複合体と相互作用すること、そして、この相互作用は、Hippo経路制御因子であるMerlinによって促進されることを明らかにした。また、AmotはHippo経路の中心的キナーゼであるLatsと相互作用することを明らかにした。以上の成果から、カドヘリン-カテニン複合体→Merlin→Amot→Latsという分子間相互作用によって細胞接着情報がHippo経路へと伝えられることを明らかにした。 本研究によって得られた成果は、Hippo経路の重要な未解決問題を解くものであり、着床前胚の位置依存的細胞分化機構の核心を明らかにするだけでなく、Hippo経路活性化の一般原理の解明へとつながるものである。したがって、本研究の成果は、発生生物学、臓器再生、がん研究などHippo経路が関係する多くの分野の発展に寄与することが期待される。
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