2011 Fiscal Year Research-status Report
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23770267
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小沼 泰子 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 研究員 (90431824)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 動物 / 細胞・組織 / 両生類 / 糖鎖 |
Research Abstract |
脊椎動物の発生過程における糖鎖プロファイルの全体像の把握のために、レクチンマイクロアレイを用いて、どのような糖鎖が発現しているかについてのグライコーム解析を行った。これまでの研究から、1-10 万個程度の哺乳類細胞から膜画分の糖鎖を結合したタンパク質を抽出して解析するプロトコールの確立ができていたが、この通常のプロトコールを用いてアフリカツメガエルの初期胚における膜画分の調整を行ったところ、抽出されたタンパク質量が非常に少なかったため、膜画分を含む全タンパク質を抽出する方法に変更し検討を行った。その結果、レクチンマイクロアレイで十分なシグナル値が得られたため、この方法で実験を進めた。この方法は、従来のプロトコールと比較して、膜画分の糖鎖だけでなく、分泌性のタンパク質の糖鎖も含むことが予想されるため、糖鎖プロファイルの全体像の把握という本研究の目的にもより適合するものである。 この方法を用いて、はじめに発生時期をおった全胚の糖鎖プロファイルの作成に着手した。未受精卵および、二細胞期、八細胞期から幼生期胚までのツメガエル胚を発生段階ごとに分けて、胚全体をサンプルとして取得し、前述の膜画分を含む全タンパク質を抽出する方法で調整した。その後、サンプルを従来の方法を用いて蛍光ラベル化しレクチンアレイを用いて、サンプル中の糖鎖の種類を解析した。また、発生領域ごとの糖鎖プロファイルの作成のために、頭部および尾部と、形成初期の腸の原器となる内胚葉をマニュピュレーションにより切り分けて、それぞれの領域から抽出したサンプルをレクチンマイクロアレイにより解析した。その結果、糖鎖のダイナミックな変化を網羅的に観察することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に計画していた、アフリカツメガエル胚における糖鎖プロファイルの取得方法の検討、発生時期をおった全胚細胞糖鎖プロファイルの作成、発生期の臓器領域ごとの細胞糖鎖プロファイルの作成、の3項目のすべてを実施した。最大の課題であった、アフリカツメガエルの初期胚細胞をサンプルとしてレクチンアレイに適用する解析プロトコールの確立を達成し、糖鎖プロファイルを取得することができたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度で作成した発生時期及び領域ごとの細胞表面糖鎖プロファイルの比較解析を行い、それぞれの条件で特徴的な糖鎖を明らかし、発生時期・領域特異的な細胞表面糖鎖の同定を行う。既知の糖鎖合成経路のデータベースから、それらの糖鎖構造がどのような合成経路により合成され、どの酵素に合成されるものであるのかの推定を行う。また、合成系に関与する酵素の遺伝子の発現解析を行うことで、胚内でどのような役割を果たしているのかについて研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費として、シャーレ、チップ、チューブなどのディスポーザブルプラスチック製品、サンプルが糖鎖の解析に妥当であるかどうかの確認や胚での発現や機能解析をするための分子生物学用・発生生物学用試薬、糖鎖解析のサンプル抽出用等の生化学用試薬、胚の採取・培養用の培地および培養試薬、胚へのマイクロインジェクション用や試薬作製用のガラス器具等の購入に使用する。旅費は、国内外で開かれるツメガエル研究集会や国際Xenopus Conference等の学会に参加し、研究成果の発表・情報収集等のために使用する。
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