2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23770281
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 英治 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70527895)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ゴリラ / マイクロサテライト / 血縁構造 / 地域集団 / リアルタイムPCR |
Research Abstract |
本研究は、野生ゴリラのDNA試料を分析することで、単雄集団を形成するゴリラの地域集団の遺伝構造、とくにオスの集団間の遺伝構造を解明することを目的としている。本年度は、まず解析の条件を整えるために、すでに収集してあったニシローランドゴリラの糞から抽出したDNAを用いて、少ない実験回数で、常染色体のマイクロサテライト16領域、Y染色体のマイクロサテライト7領域を解析できる系を整えた。また、ニシローランドゴリラでオスの集団間の血縁構造の解析を行ない、オトナオスは近くに血縁者が少ないことを明らかにした。これはニシローランドゴリラには集団を超えた父系コミュニティが存在しない可能性を示した結果である。次に、研究協力者より送付してもらったカフジビエガ国立公園のヒガシローランドゴリラの糞、計88試料(7集団)の解析を行なった。糞試料から、市販のキットを用いてDNA抽出を行なった後、リアルタイムPCR法でその濃度を計測した。また、比較的増幅しやすい性判別マーカーであるアメロジェニン遺伝子の断片の増幅を行なった。濃度測定とアメロジェニン遺伝子の解析結果から、88試料中51試料が今後の解析に使用できることがわかった。51試料のうち22試料がオスであり、そのオスのY染色体のマイクロサテライトの解析を行ない、6つのハプロタイプが見つかった。今後、常染色体のマイクロサテライトの分析を行なうとともに、解析試料数を増やして、ヒガシローランドゴリラの集団の血縁構造を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった、野生ゴリラから採取した糞試料を用いたDNA分析の実験方法を確立できた。少ない実験回数で効率よく解析ができるようになり、おおむね順調に進展していると言える。さらに、ヒガシローランドゴリラの試料についても、7集団88試料が研究協力者より届き、Y染色体上のマイクロサテライト領域の解析を行なったので、こちらも順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ当該の研究計画通りに進められており、今年度末にコンゴ民主共和国の研究協力者に連絡を取り、ヒガシローランドゴリラのDNA試料採取の継続を依頼した。その際、これまでの結果で、採取方法を工夫すると解析効率が上がると考えられたので、その方法についても伝え、採取を続けるように依頼した。次年度は、これまでに採取した試料と今後採取する試料をもとに、今年度に確立した方法を用いて、常染色体上およびY染色体上のマイクロサテライト領域の解析を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
継続して試料採取を行なうため、糞試料からのDNA抽出や解析用のPCRやシークエンサー用の試薬などに多くの費用がかかるので、次年度もおもに研究費の大部分を消耗品に充てる。その他、本研究内容発表のための国内旅費や図書などの購入を行なう予定である。
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Research Products
(2 results)