2013 Fiscal Year Annual Research Report
無声歯茎摩擦音発音時の舌尖端の機敏な動作が音源発生に及ぼす影響
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23770287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野崎 一徳 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (40379110)
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Keywords | 無声摩擦音 / 流体 / 音響 / 空力音 / 構音 |
Research Abstract |
実際の被験者と同じパワースペクトル密度分布を持った無声摩擦音/s/を発生する、in vivitroなレプリカを設計、構築し、Sibilant /s/ Simulatorと名付けた。このSimulatorは、約10Hzから15000Hzまでの広帯域で被験者と同様の音響学的特性を示した。 実現方法としては、被験者が/s/を持続的に発音している状態の気道を歯科用断層撮影装置(CBCT)で撮像し、三次元立体構築を行った後、三次元プリンタを用いて実体化した。ただし、歯列についてはアーチファクトの影響を除外するため、口腔内歯列印象を行い、石膏模型を作成した。さらに、舌部分については、具備する粘弾性を考慮し、ウレタンやシリコン樹脂により形成した。その際、CBCTより得られた正確な舌形状を元に、鋳型を作成し、そこに樹脂を流し込むことで作成した。口唇も同様にシリコン樹脂により形成した。また、空気タンクとテストセクション(TS)の間で発生する音を吸音するため、内部に吸音材を貼付したボックスを作成し、TSへの音の伝播を抑制した。舌を/s/音構音時に固定した状態で、流路に流す空気の流量を変化させながら、TSから発生する音を計測した結果、被験者/s/音の音響特性と同様の傾向を示した。このSimulator内の異なる5点で流速を測定した結果、Sibilant /s/はレイノルズ数が約2000以上で発生することが実証された。 次に、舌前方部の上下動による音や流速への影響を調べるため、ウレタン性の舌の前、中、後方部にコントロールバーを設置し、これら三点で流路内の舌を上下動させた。上下動の際、核磁気共鳴装置によって時系列で「うすい」と構音した際の舌表面の位置をパラメタとして用いた。その結果、矢状断面でのS状隆起付近における流路の高さが低くなると流速が二乗で比例して速くなり、音の発生も大きくなることがわかった。
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Research Products
(7 results)