2011 Fiscal Year Research-status Report
睡眠調節に関与する生体リズム調節機構と恒常性維持機構との機能的連関の解明
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23770289
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
北村 真吾 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・精神生理研究部, 流動研究員 (80570291)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 睡眠恒常性 / 生体リズム / 日周指向性 |
Research Abstract |
睡眠はヒトにおける基本的欲求のひとつであり、適切に充足されない場合、心身のさまざまな不調につながる。不充分な睡眠の評価と対策を行うにあたって、個人内・個人間で変動する睡眠の必要量とその規定因子を同定することが重要である。近年、睡眠の量的な調節を行う恒常性維持機構と生体リズム調節機構との機能的連関が指摘されている。本研究では、睡眠調節における生体リズム調節機構と恒常性維持機構との関連を検証することを目的とした。本年度は睡眠の回復評価実験の実施に着手した。回復評価実験では、中間型の日周指向性を示す4名の若年健常男性(20~26歳)を対象に、12時間の回復睡眠をとらせる睡眠延長プロトコル(SEP)と、SEPによって推定された個人の必要睡眠量の50%に睡眠を短縮する睡眠制限プロトコル(SRP)とを連日行った。消灯時間を12時間に延長したSEP1日目に、平均10.99時間の総睡眠時間(TST)を示し、以降、SEPの進展に伴いTSTが漸減し、おおむね延長5日目から7日目で定常状態となった。SEP最終日のTSTは平均8.52時間で先行研究と近似した値が得られたが、TSTが定常となった延長5日目から最終日までの平均TST(推定必要睡眠量)は8.09時間から9.41時間まで広い分散を示した。この推定必要睡眠量はMEQ得点と有意な相関を示し、夜型ほど短く朝型ほど長いという関係が得られた(r=0.972)。また、推定必要睡眠量に対する延長1日目の相対値は有意ではないものの、夜型ほど高く朝型ほど低いという関係がみられた(r=-0.858)。本結果は、少人数のデータながら、日周指向性という生体リズムの表現型によって必要睡眠量や睡眠回復能力が異なることが示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
13泊14日からなる睡眠の回復評価実験の準備及び実施を行う上で予想よりも時間がかかったが、すでに着手済で、課題遂行上の問題はないと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
実施手法を確立した睡眠の回復評価実験を引き続き実施していき、最終的には対象者数を16名まで増やす。年内を目処に成果をまとめて学術雑誌・学会を通じて発表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度上半期は実験の実施を中心的に進め、主に人件費・謝金の執行を行う。まとまった成果が得られる時期を秋季以降と想定し、各種解析に必要な物品、人員の手配、学術雑誌への投稿、国内外の学会での成果発表を行い、全体的な執行を進める。
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Research Products
(3 results)