2013 Fiscal Year Annual Research Report
豊富な遺伝資源を活用した機能性成分の探索および生産性に関与する遺伝子の探索
Project/Area Number |
23780003
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中西 弘充 信州大学, サテライト・ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー, 助教 (90443001)
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Keywords | 桑 / 1-DNJ / D-AB1 / α-グルコシダーゼ阻害物質 |
Research Abstract |
αグルコシダーゼ(αGL)は糖代謝において重要な役割を担っており、糖代謝の異常の1つに糖尿病が挙げられる。糖尿病患者及びその予備群は2,050万人と推計され、年々増加傾向にあり、その対策が求められている。桑に含まれる1-DNJおよびD-AB1はαGL阻害活性を有し、急激な血糖値の上昇を抑えると言われている。これまでに酵母由来αGLに対する阻害活性が網羅的に調べられた。しかし、αGLには大きく2つのファミリーが存在し、ファミリーIには酵母、昆虫、細菌が、ファミリーIIには動物、植物、糸状菌が含まれることから、酵母由来の酵素でヒトに対する影響を言及することに疑問を感じた。そこで、同じファミリーのラット由来αGLに対する阻害活性を調べることで、ヒトに対して効果の高い品種の探索を試みた。 信州大学繊維学部附属農場で管理されている91品種から採取した葉を乾燥・粉末化・抽出・ろ過した桑抽出液を測定試料として用いた。酵母由来およびラット消化管由来の酵素と、p-Nitrophenyl-α-D-Glucopyranoside(pNPG)を基質に用いてαGL阻害活性を測定した。桑葉抽出液に含まれる1-DNJとD-AB1の定量は、親水性相互作用クロマトカラムを備えた液体クロマトグラフィー質量分析 (LC-MS) で定量した。酵母由来αGL阻害活性とD-AB1の相関関係から、酵母由来の酵素の阻害活性はD-AB1量に強く依存することが分かった。また、酵母由来酵素とラット由来酵素の阻害活性に相関が見られなかったことから、それぞれのαGLの阻害に有効な品種が異なることが示された。
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