2011 Fiscal Year Research-status Report
ストライガ汚染地域におけるNERICA栽培の潅水指針
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23780015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鮫島 啓彰 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 研究員 (50580073)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 陸稲 / NERICA / 根寄生雑草 / ストライガ |
Research Abstract |
NERICA18品種およびその親4品種がどの程度ストライガに寄生されにくい(もしくは寄生されやすい)かについて、ライゾトロン法を用いて評価した。ストライガの寄生率は、NERICAのアフリカ稲側の親品種であるCG14に対しては9.3%、アジア稲側の親である3品種には34.7~57.3%であり、アフリカ稲品種CG14の方がストライガに寄生されにくいことを確認した。NERICA1・5・9・10および13へのストライガ寄生率は8.7%以下であり、これら5品種はCG14よりもストライガに寄生されにくいことを発見した。特に、NERICA5とNERICA13へのストライガ寄生率は2.7%以下であり、両品種は非常に強いストライガ抵抗性を示した。一方、NERICA16および18へのストライガ寄生率はそれぞれ45.3および63.3%と、アジア稲側の親3品種と同等あるいはそれら以上にストライガに寄生されやすいことが分かった。以上の結果から、NERICA1~18には、ストライガ抵抗性に関して幅広い品種間差が存在することが明らかになった。この成果は、ストライガ汚染地域に導入するNERICAの品種決定の際に有益な情報となる。 さらに、NERICA品種のみならず、現地環境下での安定した収量生産性を理由にスーダンの農業研究機構が推奨している品種の中から、NERICA5およびNERICA13に匹敵するストライガ抵抗性を持つ品種を見出した。この結果は、ストライガ汚染地域での稲作栽培における、品種選択の幅をもたらす。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ストライガ汚染地域での安定した陸稲NERICA栽培につながる知見として、ストライガ抵抗性NERICA品種の探索と、ストライガ抑制とイネ生育確保を両立する潅水指針の作成を目指している。 ストライガ抵抗性NERICAの探索については、当初の計画どおりNERICA18品種に対するストライガの寄生率の調査が完了した。その結果、NERICA5およびNERICA13の2品種が、特に高いストライガ抵抗性を示すことを確認した。さらに、スーダン現地の推奨品種の中から、上述の2品種と同等のストライガ抵抗性を示す品種を見出した。したがって、本項目に関しては当初の計画以上に進行していると言える。 ストライガ抑制とイネの生育確保を両立する潅水指針の作成については、研究代表者が参加しているJST-JICA連携事業により、スーダン現地で異なる潅水量でNERICA4の栽培試験を行う予定であった。しかし、試験地の潅漑施設の故障により、計画通りの試験を行えなかった。現在、潅漑施設の修理は完了しており、緊急の場合は近隣の潅漑施設の使用許可も得ている。したがって、次年度以降は選抜されたストライガ抵抗性品種を用いた栽培試験が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
選抜されたNERICA5、NERICA13および現地推奨品種の高いストライガ抵抗性を説明する要因を解析する。ライゾトロン上でそれぞれの根と接触したストライガの生育を調査し、根への侵入阻害および侵入後の生育抑制という2つの視点から、ストライガ抵抗性を区分する。また、これらの品種をスーダン現地で野外栽培し、生育調査・養分分析を行うことで、潅水を含む肥培管理指針の作成および現地適応性の評価に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
スーダン現地において異なる潅水量を設定したNERICAの栽培試験を、研究代表者が参加してるJST-JICA連携事業により行う予定であった。しかし、この試験は、現地の潅漑設備の故障により遂行できなかった。そのため、採取予定であったサンプルが得られず、養分分析を行わなかったため、次年度に使用する研究費が発生した。次年度は、選抜されたストライガ抵抗性品種を現地で栽培し、そこから得られたサンプルを用いて、養分分析を行う。
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Research Products
(2 results)