2013 Fiscal Year Annual Research Report
シンク・ソース能力から見た高温・乾燥耐性サツマイモ品種創出のための基礎的研究
Project/Area Number |
23780016
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
門脇 正行 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (00379695)
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Keywords | サツマイモ / 地温 / 植被率 / 塊根生産 / 同化産物分配 |
Research Abstract |
圃場条件下および温度傾斜型チャンバー(TGC)内でマルチ資材による地温の変化を生じさせ,生育初期より植被率を定期的に測定することで,植被率と地温および上イモ生重の変動係数との関係を再検討し,高い植被率が地温上昇を抑制し安定した塊根生産につながるという仮説を立証することを目的に研究を行った.その結果,植被率と地温には有意な負の相関関係が見られ,圃場では一部の品種を除けば植被率と上イモ生重の変動係数にも有意な負の相関関係が見られた.これらの結果から,上述の仮説は概ね立証された.植被率が高く,地温に対する上イモ生重の変動係数が低い品種は‘ベニアズマ’,‘パープルスイートロード’,‘オキコガネ’の3品種であったが,収量を考慮すると‘ベニアズマ’,‘オキコガネ’が高地温耐性のある品種として有望であると考えられる. また,TGC内での実験において‘ベニアズマ’を用いて,個葉光合成速度の測定と13Cを用いた炭素トレース実験を行い,気温および地温が光合成能力(ソース能力)と同化産物蓄積能力(シンク能力)に及ぼす影響について解析した.その結果,最大光合成速度および光-光合成曲線の初期勾配には気温または地温による明確な影響は確認されなかった.塊根への13C分配率は低気温条件下のほうが高気温条件下よりも高くなっており,地上部への13C分配率が高いほど塊根への13C分配率が低くなっていた.これらの結果から,気温・地温上昇に伴う上イモ生重の減少は,光合成低下による同化産物不足によるものではなく,塊根への光合成産物の転流が減少したためであるといえる. 収穫後の塊根を用いて皮色および形状(幅長比)の測定を行ったが,気温や地温による影響は確認できなかった.また,糖度の測定と食味官能試験を行った結果,高温ほど糖度が高く,食味の評価も高いという結果が得られた.
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