2013 Fiscal Year Annual Research Report
緑肥分解に伴うN2Oの発生ならびに土壌微生物相の変化からみた作物の生育と養分吸収
Project/Area Number |
23780017
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松村 篤 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (30463269)
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Keywords | 温室効果ガス / 亜酸化窒素 / 二酸化炭素 / 土壌微生物 / 緑肥作物 |
Research Abstract |
資源循環型の作物生産のために緑肥作物の導入が検討されて久しいが,緑肥すき込み時に排出されると予想される亜酸化窒素についての情報が不足している.土壌から排出される亜酸化窒素は土壌微生物の活動によって大きく左右されることから,緑肥すき込み後の土壌微生物バイオマスの挙動と亜酸化窒素ガスの発生との関係を明らかにすることを目的に研究を行った. これまでの研究において夏作緑肥としてセスバニアとソルガム,冬作緑肥ではヘアリーベッチとエンバクを緑肥として栽培し,すき込み後の亜酸化窒素の排出量と土壌微生物の群集構造やバイオマス量との関係性を明らかにしてきた.亜酸化窒素の排出は土壌条件によって大きく左右され,粘土質で排水性の悪い灰色低地土でその排出が高いことが示され,亜酸化窒素にはグラム陰性菌の増殖が大きく寄与していることが示された.最終年度では灰色低地土における亜酸化窒素の排出に焦点を絞り,冬作マメ科作物であるソラマメの収穫残渣を緑肥として利用した際に排出される亜酸化窒素を調査した.ソラマメ残渣のすき込み後10日目から20日目にかけて亜酸化窒素の排出は高まり,これまでの研究と同様に降雨によって排出が助長された.また,残渣すき込みによって急激に増殖した土壌微生物が降雨によって嫌気条件に晒されることによって亜酸化窒素の排出が増加することも考えられた. 一方,今年度は亜酸化窒素の排出を制御することを目的として土壌への炭添加の効果についても検討した.その結果,ヘアリーベッチをすき込んだ土壌に炭を添加すると明らかに亜酸化窒素の排出量は減少し,炭添加によって土壌微生物の群集構造が大きく変化することが示された.今後,炭の種類や投入量によって亜酸化窒素の排出がどの程度削減できるかについて研究を進めていく予定である.
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Research Products
(5 results)