2011 Fiscal Year Research-status Report
刈り取り残渣を利用した二次草地および二次林における植生復元技術の開発
Project/Area Number |
23780022
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 晋 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30450282)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 植生復元 / 結実種子 / 刈り取り残渣 / 半自然草地 / 個生態 / 被陰試験 |
Research Abstract |
近年,生物多様性の回復を図る自然再生において,目標植物種の導入を通した植生復元が盛んになっている。こうした復元には,専ら,埋土種子を含む表土が復元材料として用いられてきた。しかし,草原生植物など埋土種子の形成されにくい種群に対して有効な植生復元手法は開発されていない。そこで,草原生植物の主要な生育地である二次草地と,植生管理が継続されている二次林を対象に,結実種子を含む刈り取り残渣という新たな復元材料を用いた植生復元技術を開発する。 本課題では,刈り取り残渣を用いた植生復元を行う場合に復元の成否を左右する重要な項目として,(1)復元材料の取得,(2)復元材料の発芽,(3)発芽個体の成長という3点に着目する。平成23年度は,(3)に対応する研究として,種間競争能の重要な指標の一つであり,個体の成長可否を左右する光環境に着目し,群落形成過程において光環境に対する個別種の生育パタンを収集した。 植物社会学におけるススキクラス標徴種(ツリガネニンジン,ノハラアザミ,オガルカヤ,オミナエシ)と,同様の立地に多いトダシバ,オトギリソウ,ユウガギクを試験対象とした。全7種について,全天条件と相対日射量50%における地上部・地下部の乾物重の有意差は認められなかった。オガルカヤ,トダシバ,ユウガギク,オミナエシの相対日射量25%における乾物重は,より高い日射条件より有意に小さかった。うち前2者の相対日射量10%における乾物重は,同25%におけるそれよりさらに小さかった。ノハラアザミ,ツリガネニンジン,オトギリソウについては,相対日射量10%における乾物重が,同25%以上の乾物重と比較して有意に小さかった。オトギリソウ,トダシバ,オガルカヤ,ユウガギクは,1生育期で生殖成長ステージに達した。ツリガネニンジン,ノハラアザミは根出葉がみられたが地上茎は形成されず,生育期間を通して草高が10cm以下と低かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度における栽培試験に用いるために,平成22年秋季に採取した刈り取り残渣が,平成23年の猛暑の影響によりほとんど結実種子を含まないものであった。このため,研究の一翼として予定していた栽培試験が,想定通りの結果を得ることができなかった。該当試験については,平成24年度に再試験を実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
上述のように,平成23年度の研究の一部に遅れが生じているため,平成23年度に実施予定であった試験の一部を平成24年度に実施する。すなわち,刈り取り残渣の撒き出し方法と発芽種子数との関係を解明し,刈り取り残渣に含まれる種子が高い確率で発芽する撒き出し方法を明らかにするための圃場栽培試験を,平成24年度に実施する。 くわえて,当初,平成24年度に実施する予定であった試験についても,予定通り平成24年度に実施する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に予定通り実施することが困難であった栽培試験を平成24年度実施するため,栽培試験置設営資材とその消耗資材を購入するとともに,同理由で購入する必要が生じなかった電子天秤を購入する。一定の成果が出ることが想定される秋季に,平成23年度に実施することができなかった海外での成果発表を行う。
|
Research Products
(1 results)