2013 Fiscal Year Annual Research Report
刈り取り残渣を利用した二次草地および二次林における植生復元技術の開発
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23780022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 晋 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (30450282)
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Keywords | 植生復元 / 刈り取り残渣 / 結実種子 / 半自然草地 / 播きだし厚 / 準開放空間 / 被陰試験 / 代替生育地 |
Research Abstract |
近年,生物多様性の回復を図る自然再生において,目標植物種の導入を通した植生復元が盛んになっている。こうした復元には,専ら,埋土種子を含む表土が復元材料として用いられてきた。しかし,草原生植物など埋土種子の形成されにくい種群に対して有効な植生復元手法は開発されていない。そこで,草原生植物の主要な生育地である二次草地と,植生管理が継続されている二次林を対象に,結実種子を含む刈り取り残渣という新たな復元材料を用いた植生復元技術を開発する。 本課題では,刈り取り残渣を用いた植生復元を行う場合に復元の成否を左右する重要な項目として,①復元材料の取得,②復元材料の発芽,③発芽個体の成長という3点に着目している。①刈り取り時期は結実種子量に影響を及ぼす主要な要因であり,多種多量の復元目標種の種子が得られる刈り取り時期の解明は,植生復元の際,重要な考慮事項である。そこで,草地と二次林において,時期を変えた刈り取り試験を行い,各試験区から得られた刈り取り残差に含まれる結実種子量を解明するための研究を実施した。その結果,林床の半閉鎖的な草原植生でも草原生植物は結実し,植生復元材料として利用可能であった。また,年2回の刈り取りは結実種数と結実量を大幅に低下させるため,年間1回の刈り取りが,植生復元用の残差を得るための管理としてより適切であると推測された。②に関する研究として,異なる被陰下の刈り取り残差を異なる撒き出し厚で撒き出した。その結果,750-800g/m2の残渣を復元地に撒き出すことで,出芽個体数が最大化することが明らかとなった。また,3月に種子を播きだすと,その後の結実種子の出芽率は最大化するが,出芽後の雑草との競合も高まり,個体の残存率は低下した。7月に播きだしを行うと出芽個体数は低下するが出芽後の雑草との競合が緩和され,発芽適温域が高い種に対してはこの時期の種子導入が適すと考えられた。
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Research Products
(2 results)