2011 Fiscal Year Research-status Report
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23780023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 温裕 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (10447360)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | レタス / 抽台 / QTL解析 / RADマーカー |
Research Abstract |
レタスは冷涼な気候を好み、生育適温は20℃前後である。30℃以上の高温長日条件下では花成が誘導され、その後急激な茎の伸長(抽台)が起こる。抽台が起こると葉の生育量が減少し、根の発達も悪くなる。温度上昇期のレタス栽培では、不時抽台、球内で茎が伸長して球がいびつになる球内抽台、節間が伸びて球のしまりが悪い異常球など、茎の異常伸長による生理障害の発生が増加する。特に生育期が高温になる夏秋どりの露地栽培では、近年の異常気象や地球温暖化の影響で生理障害が増えており、安定生産の大きな妨げになっている。最近日本では交雑育種によって育成された耐病性品種が主要品種として定着しつつあり、晩抽性を有する品種開発も進められているが、早期抽台や結球異常を起こしにくい品種の育成は遅れている。抽台性を制御するゲノム領域を明らかにし、DNAマーカー情報を提供することは今後のレタスの育種や栽培技術の改善に役立つものと期待される。本年度は、次世代シークエンサーによる塩基配列の決定により、レタスの抽台性の異なる二品種について多型のあるRADマーカーを数千個得ることができた。これにより、レタスの高密度連鎖地図の作成が可能になるとともに、bulk segregant analysisにより、晩抽性の原因遺伝子を決定することができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、レタスの組換え近交系集団用いて、ESTマーカー及びSNP検出法により高密度連鎖地図の作成、QTL解析法による抽台性を制御するゲノム領域の検出を目的にしている。本年度は震災の影響とそれによる節電対策の実施のため、レタスの栽培管理が予定通り行われず、組み換え近交系集団の育成が多少遅れている。しかし、次世代シークエンサーを用いた塩基配列の決定、およびRADマーカーの開発は順調に進んでいる。今後、データ解析をさらに進め、RADタグ配列の近傍にある一塩基多型(SNPs)をみつける予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
マーカー遺伝子型の判別および連鎖地図の作製:F4集団の個体の生葉からDNAを採取し、連鎖地図(染色体地図)の作製に供する。親間で多型が見られたマーカーについて、全F4個体のゲノム全域を対象として遺伝子型判別を行うとともに、Mapmakerによりマーカー間の遺伝距離を計算し、高密度連鎖地図を作成する。F5個体約120個体を東京大学内圃場の自然光温室で夏と秋に2回栽培し、抽台性と関連した形質について形質評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、F4集団の約120個体からDNAを抽出し、ESTマーカー及びSNPマーカーを用いて多型解析後、高密度連鎖地図を作成し、F5集団を用いて形質評価を行なう予定である。そのため、連鎖地図作製のために使うプライマー及び試薬購入のための消耗品費、次世代シークエンサーによるデーター解析費用、技術支援員の雇用費、栽培資材のための消耗品費が必要である。なお,技術支援員には多型解析と形質評価の補助を依頼する。
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