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2012 Fiscal Year Research-status Report

種特異的な外来遺伝子発現抑制機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23780027
Research InstitutionOsaka Prefecture University

Principal Investigator

三柴 啓一郎  大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (70390888)

KeywordsDNAメチル化 / リンドウ / 分子育種 / 園芸 / サイレンシング / 遺伝子組換え
Research Abstract

申請者はリンドウに導入したCaMV-35Sプロモーター配列のエンハンサー領域が、配列特異的なDNAメチル化による発現抑制を引き起こすことを見出している。しかしながら、このような発現抑制現象がリンドウ以外の植物種で起こる可能性については検証されていない。一方レタスでは35Sプロモーターを含む外来遺伝子の発現抑制が報告されており、リンドウの発現抑制と類似の現象である可能性がある。そこで本研究では、35Sプロモーターを含む外来遺伝子をレタスに導入し、組換えレタスにおいてもリンドウと同様の発現抑制現象が生じるかを検討した。
レタス品種‘カイザー’の子葉にアグロバクテリウムを感染させて、35Sプロモーター(野生型、及び35Sエンハンサー領域に変異を導入したもの)にGFP遺伝子を連結した外来遺伝子を導入した。得られた組換え植物の葉組織よりゲノムDNAを抽出し、サザンハイブリダイゼーションを行った結果、1~11コピーのT-DNAの挿入が確認された。これら組換え体の葉組織よりRNAを抽出し、ノザンハイブリダイゼーションにより導入遺伝子のmRNA発現を解析した結果、野生型35Sプロモーターを導入した系統ではGFP遺伝子の発現が抑制されていたが、エンハンサー領域に変異を導入した系統では、発現している系統と抑制されている系統が認められた。
得られた組換え体のうち5系統について、バイサルファイトシークエンス法により35Sプロモーターのエンハンサー領域におけるDNAメチル化を解析した。野生型35Sプロモーターを導入した系統では、組換えリンドウと同様に、解析した領域において高度なDNAメチル化が確認された。一方、35Sエンハンサー領域に変異を導入した系統ではDNAメチル化がみられない系統が見出されたことから、エンハンサー領域の変異がDNAメチル化に影響を与えた可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度の研究により、リンドウでみられた外来遺伝子の発現抑制現象が、レタスにおいても生じている可能性が示された。このことから、35Sプロモーター配列特異的なDNAメチル化は、広範な植物種間で共通に備わっている分子機構である可能性が示唆された。レタスはリンドウと比較して組換え体の作出が容易であり、作出期間も短縮出来ることから、研究材料としてより好適であると思われる。現在までにレタスの組換え体を多数選抜しているところであり、次年度にこれら組換え体を用いた詳細な解析を行う予定である。
これまでの研究より、リンドウにおいて高頻度にde novoメチル化が起きている領域は35Sエンハンサー領域中に2ヶ所存在することが明らかになり、これらの領域ではリンドウ内在の核因子が共通して結合する配列を含むことがEMSAにより示されている。このことから、当該配列に結合する核因子がリンドウの配列特異的DNAメチル化機構に関与していることが推察された。そこで本研究では、この35Sエンハンサー領域に変異を導入した改変プロモーターをリンドウ及びレタスに導入し、DNAメチル化が同様に起こるかを確認している。現在までに数系統のDNAメチル化を解析しているが、今後より多くの組換え体について解析を行い、この領域がDNAメチル化に与える影響を調査する予定である。
酵母ワンハイブリッド法については、リンドウのcDNAライブラリーより35Sエンハンサー配列に結合する因子のスクリーニングを行い、これまでに複数のクローンが得られている。次年度にこれらクローンにコードされている因子が、実際にDNAメチル化に関与しているのかを解析する予定である。
以上の成果より、本研究の目的である「配列特異的なde novoメチル化の分子機構の解明」に向けた基礎的知見が得られつつあり、本年度の研究はおおむね順調に進展していると思われる。

Strategy for Future Research Activity

申請者のこれまでの研究により、35Sエンハンサー領域内にde novoメチル化のターゲット配列が存在し、リンドウの核因子と結合することが示されている。この配列に結合する因子がde novoメチル化に関与している可能性が高いと考えられるため、このターゲット配列を「おとり配列」とした酵母ワンハイブリッド法によるリンドウcDNAライブラリーのスクリーニングを進めている。現在までに複数のクローンが得られており、これらクローンについて解析を進め、コードしている因子が真にde novoメチル化に関与しているかを検証していく予定である。
またde novoメチル化のターゲット配列に変異を導入した、改変型の35Sプロモーター配列について、現在リンドウとレタスへの導入を進めている。これらの変異により導入した当該配列のDNAメチル化が起こらない場合は、変異を導入した配列に結合する因子がDNAメチル化に関与していることが強く示唆される。さらに、レタスでも同様の結果が得られた場合は、この現象がリンドウ特異的に起こるものでは無く、広範な植物種で起きている可能性が示される。一方、de novoメチル化のターゲット配列(64塩基)のみをリンドウとレタスに導入する試みについても現在行っており、このような配列のみでDNAメチル化が誘導された場合は、ターゲット配列がプロモーターの機能とは無関係にDNAメチル化を引き起こしている、という結論が得られる。
酵母ワンハイブリッド法で候補となるDNA結合因子が得られた場合、得られたDNA結合因子をタバコに導入して、35Sエンハンサー領域のメチル化が誘導されるかを確認する。さらに得られた因子の細胞内局在や目的配列での結合についても観察し、これらの結果を統合して配列特異的なde novoメチル化のモデルを構築したいと考えている。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本研究計画を遂行するにあたり、研究機器については現研究体制(研究協力者である大阪府立大学 小泉教授との研究グループ体制)で使用している研究備品に加え、必要に応じて、大阪府立大学、もしくは岩手生物工学研究センターの共同利用機器を利用することで、設備備品費で新規に購入する物品は無いものと考える。次年度の研究費は、酵母ワンハイブリッドやツーハイブリッド実験をはじめ、植物の遺伝子導入実験やDNAメチル化解析等に必要な消耗品費への支出が中心となり、それに加えて研究をサポートしてくれる研究補助員への謝金、及び論文発表や学会発表に必要な費用に使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2013

All Book (1 results)

  • [Book] The Gentianaceae, Vol.2. Biotechnology and Application, Chapter 10. Genetic transformation and its application to gentian breeding2013

    • Author(s)
      Jan J. Rybczynski, Michael R. Davey, Anna Mikula (eds.) M. Nishihara, K. Mishiba, T. Imamura, H. Takahashi, T. Nakatsuka
    • Total Pages
      250
    • Publisher
      Springer

URL: 

Published: 2014-07-24  

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