2011 Fiscal Year Research-status Report
香気成分合成を制御する糖代謝遺伝子の同定とその機能解析
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23780032
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岸本 久太郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所花き研究領域, 任期付研究員 (60546737)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 香気成分 / 芳香族化合物 / ペントースリン酸経路 / 糖代謝 / 花の香り / ペチュニア / 酵素 / 遺伝子 |
Research Abstract |
研究目的 ペチュニア(Petunia axillaris)微香系統と強香系統の花冠内代謝物の網羅的な解析の結果、両系統の花の香気成分生合成能の違いの原因が、糖代謝過程のペントースリン酸経路の酸化ブランチにあることが示唆されたことから、その代謝過程を触媒する酵素の遺伝子を明らかにし、これらの遺伝子工学的な改変によって、多様な香気成分生合成を一括して抑制、あるいは増加できるか明らかにする。平成23年度は、ペチュニア花冠においてペントースリン酸経路の酸化ブランチを触媒すると考えられるグルコース6リン酸デヒドロゲナーゼと6リン酸グルコノラクトナーゼの遺伝子の同定を行った。結果および考察 ペチュニアの Expressed sequence tag 情報からマイクロアレイを作製し、花冠で発現している遺伝子を網羅的に検出した結果、グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子3個と6リン酸グルコノラクトナーゼ遺伝子4個が同定された。これらの遺伝子の花冠における24時間周期の発現様式を解析した結果、いずれも明確な昼夜律動性が認められた。一方、強香系統と微香系統における発現様式に顕著な違いは認められなかったことから、微香系統では、いずれかの酵素のタンパク質が減少あるいは不活化し、香気成分前区物質である6-ホスホ-D-グルコン酸の供給が減少することで、結果的に香気成分量が減少したと考えられた。次年度は、これらの遺伝子を高発現ベクター等に挿入し、ペチュニアの形質転換体を作出する予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書の予定通り、ペチュニアの香気成分合成の場である花冠で発現しているペントースリン酸経路の酸化ブランチ触媒酵素遺伝子を選定し、その発現様式を微香系統と強香系統間で比較することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
各候補遺伝子の恒常発現・発現抑制ベクター等を構築する。作製した各コンストラクトを導入した形質転換ペチュニアを作出し、正常に生育するか観察する。GC-MSによる組換え体の花の香気成分の定量的な解析の準備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は下記の通り使用する。なお、次年度使用額70,045円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。-形質転換体の作出に要する費用¥600,000-内訳:ベクター作製関連試薬(¥150,000)、核酸抽出・PCR関連試薬 (¥150,000)、形質転換体作製費(培地、試薬、シャーレ等;¥100,000)、形質転換体育成用品(鉢、土等;¥100,000)、分子生物学実験消耗品(チップ、マイクロチューブ、アガロース、核酸マーカー等;¥100,000)。-組換え体の香気成分の解析準備費用(主に香気成分標品代)¥100,000--出張費等¥70,045-計¥770,045(平成24年度直接経費¥700,000+平成23年度未使用額¥70,045)
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