2013 Fiscal Year Annual Research Report
香気成分合成を制御する糖代謝遺伝子の同定とその機能解析
Project/Area Number |
23780032
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
岸本 久太郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所花き研究領域, 主任研究員 (60546737)
|
Keywords | 香気成分 / ペチュニア / 糖代謝 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
ペチュニア野生種(Petunia axillaris)の花の香気成分発散量は、夜間に最大値を示し、日中に最低値を示す。この香気成分発散の昼夜律動性を制御している遺伝子の同定を試みた。香気成分生合成の場である花冠から4時間毎に2日間分のRNAを抽出・精製し、トランスクリプトームを行ったところ、P. axillarisの主要香気成分である芳香族化合物やその前駆体のシキミ酸経路の代謝物の生合成を担っている酵素の遺伝子群は、香気成分の発散様式と異なる発現様式を示した。しかし、香気成分の材料となる糖を代謝する過程や、糖にリン酸基を付与する過程において、香気成分の発散様式と同調的な発現様式を示す酵素遺伝子が見つかった。これらの遺伝子の発現が、P. axillarisの香気成分発散の昼夜律動性を制御している可能性が高いと考えられた。また、既報のP. axillarisの花冠におけるメタボロミクスの結果から、香気成分発散の昼夜律動性は、トランスククリプトームと同様に糖代謝の過程で制御されていることが示されている。本年度は、花冠において香気成分の発散と同様に夜間に発現量が最大値を示す糖代謝関連遺伝子のβ-Fructofuranosidase遺伝子と、糖のリン酸化を触媒するHexokinase/Glucokinase遺伝子のcDNAを単離・同定した。これらの遺伝子を花冠で日中に発現させれば、日中の香気成分生産量が増加すると予想される。トランスクリプトームによってペチュニア花冠で日中特異的に発現することが確認された、安息香酸ベンソイル基転移酵素遺伝子のプロモーター領域の塩基配列(約2kb)を同定した。本プロモーター制御下で、単離した酵素遺伝子を発現させれば、日中の香気成分発散量が増加する可能性がある。 加えて、P. axillarisの微香性系統において香気成分生合成能の低下の原因である可能性が示唆されているGlucose-6-phosphate 1-dehydrogenase遺伝子および6-Phosphogluconolactonase遺伝子を単離・同定した。
|