2011 Fiscal Year Research-status Report
環境保全型水田におけるクモの網の非栄養的効果がイネ害虫の被害防除に果たす役割
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23780049
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
高田 まゆら 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (10466807)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生物防除 / 形質介在効果 / イネ害虫 |
Research Abstract |
宮城県大崎市における環境保全型水田には多様なクモが生息しており、イネの上部にはアシナガグモ属(造網性)が、イネの株元にはコモリグモ科(徘徊性)がそれぞれ特に優占している。アシナガグモ属が張る水平円網の被度は著しく高いため、イネ害虫アカスジカスミカメ(以下アカスジ)が網にかかる光景が頻繁に観察されたが、網が脆弱なためアカスジは直後に落下してしまうことが多かった。水田内に侵入したアカスジは、通常イネの穂付近やイネ上部に生息するが、アシナガグモの網がアカスジを落下させることにより、株元付近に生息するコモリグモ類がアカスジを捕食する可能性が考えられた。 そこで本研究では、害虫が水田侵入時にアシナガグモの網に引っ掛かり株元に落下することで、徘徊性のコモリグモ類による害虫の捕食頻度が増加するという仮説を、野外パターン調査や害虫のDNAマーカーを用いたクモ類の胃内容分析等から検証する。宮城県大崎市田尻における無農薬・無化学肥料水田約20枚からコモリグモを多数採集し、イネ害虫アカスジカスミカメのDNAマーカーを用いてコモリグモの食性分析を行ったところ、予備的な統計解析によりコモリグモのアカスジ捕食率はアシナガグモ属の密度が高まるほど増加することがわかった。このことは、アシナガグモ属が多い水田ほどコモリグモによるアカスジを捕食する頻度が高まることを意味しており、本研究の仮説を支持するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
害虫のDNAマーカーを用いたコモリグモの食性分析の結果から、本研究の仮説を支持する結果が得られたことから、本年度の目的はおおむね達成できたと考えられる。しかし本研究の仮説が正しいと判断するにはまだ証拠が足りていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、本年度に引き続き宮城県大崎市の環境保全型水田を対象とした野外調査やクモ類の胃内容分析を進める必要がある。さらにこうしたデータを用いて本研究の仮説を検証するためには、ベイズ統計を用いた統計モデルの構築が必要不可欠となる。こうした野外調査・野外実験、室内実験(DNA分析)、統計モデル構築という様々な手法を用いて、環境保全型水田におけるアシナガグモの網の害虫防除効果について検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
水田内で採集する大量のクモ類のDNA分析 (1匹あたり約700円)に本研究費を使用する。また宮城県大崎市への調査旅費、DNA分析を行う生物防除研(つくば)への旅費、及び日本応用動物昆虫学会、国際昆虫学会(韓国)における成果発表のための学会参加費が必要となる。さらにDNA分析の際に生物防除研究センター研究員に分析指導を依頼する必要があるため、その謝金が必要である。また野外調査補助及びDNA分析補助が必要となるため、それらの謝金も必要である。また本成果を学術論文に投稿するための英文校閲料と投稿料として本研究費を使用する。
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