2013 Fiscal Year Annual Research Report
ガ類害虫の音響行動と聴覚特性:超音波を使った行動制御技術の開発を目指して
Project/Area Number |
23780053
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中野 亮 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所・品種育成・病害虫研究領域, 主任研究員 (90546772)
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Keywords | 害虫防除 / 超音波 / チョウ目 / 音響交信 / 産卵行動 / 交尾行動 / 聴神経 |
Research Abstract |
モモノゴマダラノメイガのオスが交尾の競合相手である周囲の他のオスの接近を阻害するのに用いる短いパルス(持続時間25-28 ms)が、他種のチョウ目害虫の飛来をも抑制することを解明した。メスが発する性フェロモンへのオスによる誘引行動を室内風洞にて再現し、室内のノイズ、モモノゴマダラノメイガのオスが発する持続時間28 msのパルス、同所的に分布するモモジロコウモリが昆虫を捕食時に発する持続時間5 msのパルス、同じくキクガシラコウモリが捕食時に発する持続時間30 msのパルスを100 dB SPL(ノイズは24 dB SPL、@ 10 cm)の音圧で提示した。風上には性フェロモン剤と粘着板トラップを設置し、15分間でトラップされたオス成虫の数を比較した。 トウモロコシ害虫のアワノメイガにおける各種音響刺激を提示した際の誘引率は、ノイズで68%、28 msパルスで20%、5 msパルスで52%、30 msパルスで16%であった。シソ害虫のベニフキノメイガの誘引率は、上記と同順に示すと64%、23%、24%、28%となった。貯穀害虫のノシメマダラメイガでは、85%、50%、90%、45%であった。また、風上に産卵基質である米ヌカを設置し、ノシメマダラメイガの既交尾メスに対して同様に試験したところ、同順の音刺激で70%、23%、73%、33%の誘引率であった。 上記3種にシロオビノメイガ、ヒメトガリノメイガを加え、異なるパルス長に対する聴神経の応答閾値を電気生理実験により解明した。その結果、全種において、20 ms以上の長いパルスへの感受性が高いことを突き止めた。 以上の結果および本課題全体の結果より、チョウ目害虫の飛来を阻害する超音波は、周波数40-60 kHz、パルス長20-30 ms、パルス間間隔(静音部の長さ)25-45 msのパラメータを有すことを明らかにした。
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Research Products
(20 results)