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2012 Fiscal Year Research-status Report

外来淡水巻貝Pomacea属の分布実態とその定着要因の解明

Research Project

Project/Area Number 23780054
Research Institution独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構

Principal Investigator

松倉 啓一郎  独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター・生産環境研究領域, 主任研究員 (50414800)

Keywords侵略的外来種 / 巻貝 / 分子系統樹 / 水稲 / 耐寒性 / 捕食性天敵 / 淡水
Research Abstract

24年9月に熊本県内および石垣島の水田それぞれ3箇所において、水田内に生息するPomacea属の殻高構成をコドラート法で、孵化直後の貝(殻高:2~3mm)と幼貝(7.5~12.5mm)に対する捕食圧をコルクボード法でそれぞれ調査した。その結果、熊本県の水田では殻高15mm以下の貝が高密度で生息していたのに対し、石垣島の水田内の貝密度は非常に低く、生息している個体の大半は殻高25mm以上の大型の個体であった。また、孵化直後の貝は熊本、石垣島いずれにおいても24時間で10~20%の個体が捕食されていたが、幼貝は熊本県では捕食されなかったのに対し、石垣島では6~12%の個体が捕食されていた。以上の結果から、石垣島においては殻高10mm程度の幼貝に対する天敵が存在することを確認し、これが両地域の水田におけるPomacea属の殻高構成の違いを生じさせる一因であると考えられた。
Pomacea属の耐寒性について、スクミとラプラタの交雑個体(F1)の耐寒性を室内実験で評価した。その結果正逆いずれの交配によって得られたF1についても、ラプラタと同程度の低い耐寒性しか有していなかった。F1をスクミと交配させたバッククロス(BC)はある程度の耐寒性を有しており、スクミとの複数回にわたる交配によって耐寒性は上昇すると考えられた。
また、スクミ・ラプラタの耐寒性に関与すると考えられるリン脂質の組成の解析を試みた。研究協力者の指導を仰ぎながらPomacea属からのリン脂質の抽出を試みたが、昆虫等で行われている従来の手法では不純物が大量に抽出されてしまうことから、カラム法等による精製法を開発した。開発した抽出・精製法を用いて来年度以降、本格的な解析を実施する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

石垣島と熊本県の水田地帯でのPomacea属の殻高構成の違いやその要因を明らかにし、耐寒性についてはスクミ側への交配により耐寒性が上昇することを見出すなど、研究は順調に進展している。リン脂質の分析については、抽出時に生じた不純物の問題により今年度中に解析は終了できなかったものの、効果的な精製法によりサンプルの精製に成功しており、目標達成に対して着実に研究は進捗している。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究の結果、熊本(温帯)の水田環境に中型のPomacea属を捕食する天敵が存在しないこと、スクミおよび交雑個体は耐寒性が高いこと、これら2つの要因がスクミが国内の広い範囲への侵入に成功した大きな要因であると考えられた。したがって、今後はこれら2つの要因の解明に重点を置くこととする。具体的には、中型のPomacea属に対する天敵を石垣島での調査により明らかにすること、耐寒性のカギとなっているリン脂質の組成の変化の解明を進める。
25年度は本課題の最終年度であることから、これまでに得られた知見を総合し、1980年代に侵入したPomacea属が国内での定着に成功した経緯について、生態的背景に基づいてその侵入シナリオを完成させる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度の研究経費は石垣島での天敵調査における旅費・調査用具購入費、およびリン脂質の解析における解析用試薬・消耗品の購入に主に用いる。その他、Pomacea属の飼育系統維持や実験補助のための研究補助員の雇用、および成果発表(原著論文・学会発表)のための諸経費にも使用する予定である。なお、次年度使用額144,871円は研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と併せて研究計画遂行のために使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Genetic exchange between two freshwater apple snails, Pomacea canaliculata and Pomacea maculata invading East and Southeast Asia2013

    • Author(s)
      Matsukura, K., M. Okuda, N. J. Cazzaniga and T. Wada
    • Journal Title

      Biological Invasions

      Volume: 15 Pages: 2039-2048

    • DOI

      10.1007/s10530-013-0431-1

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] スクミリンゴガイとラプラタリンゴガイの耐寒性2013

    • Author(s)
      松倉啓一郎、吉田和弘、和田節
    • Organizer
      日本応用動物昆虫学会大会
    • Place of Presentation
      日本大学藤沢キャンパス
    • Year and Date
      20130327-20130329

URL: 

Published: 2014-07-24  

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