2012 Fiscal Year Annual Research Report
根粒菌3型分泌系によるマメ科植物共生シグナルの活性化機構
Project/Area Number |
23780068
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 伸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40379285)
|
Keywords | 根粒菌 / マメ科植物 / 共生 / III型分泌機構 / 防御応答 |
Research Abstract |
本研究ではダイズと根粒菌の共生系における根粒菌III型分泌機構(T3SS)の役割を分子レベルで解明することを目指している。今年度の成果の概要は以下のとおりである。 (1)根粒菌Bradyrhizobium elkanii USDA61株は、ダイズとの共生においてT3SSを発現し、Nod-factor / Nod-factor receptor (NFR)の相互認証を介さない根粒形成を行うことができる。III型分泌タンパク質(エフェクター)がダイズの根粒形成シグナルを直接活性化することが予想されたことから、原因エフェクター同定のため、(i)B. japonicum USDA110株への相補試験、および (ii)RNA-Seq解析による網羅的遺伝子発現解析を行った。 (i)については、USDA110株にUSDA61株のゲノムライブラリを導入し、nfr1変異ダイズへ接種したが、根粒形成を相補するものは得られず、エフェクターの同定には至らなかった。(ii)については、他の根粒菌でエフェクターとして同定されているNopP等を含む複数の遺伝子が検出された。今後これらのエフェクター候補遺伝子の破壊株を作成し、その共生形質を検討することで、根粒形成シグナルを活性化するエフェクターの同定を目指す。 (2)根粒菌T3SSがダイズ根細胞に誘導する遺伝子発現をマイクロアレイにより解析した。T3SSはダイズ根の29遺伝子の発現を上昇させ、この中にはENOD40やNINなど、既知の共生関連遺伝子が含まれていた。一方、T3SSによりダイズ根において36遺伝子の発現低下がみられた。この中には、カロース合成遺伝子やChalcone synthaseなど、既知の防御応答遺伝子が含まれており、根粒菌T3SSは宿主共生遺伝子を直接活性化するとともに、防御応答遺伝子の抑制の両方の役割を担うことが明らかとなった。
|
Research Products
(6 results)