2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23780069
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三谷 奈見季 岡山大学, 資源植物科学研究所, 助教 (40581020)
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Keywords | ケイ酸輸送体 / 発現制御 / イネ |
Research Abstract |
本研究では植物の有用元素「ケイ素」の吸収を担うケイ酸輸送体OsLsi1の発現制御機構の解析として、OsLsi1のケイ素に応答した発現量調節および、ケイ酸輸送体に特徴的な内皮細胞外皮細胞特異的発現に関わるシス配列の探索を行った。前年度までに、イネは地上部のケイ素集積量に応じてケイ酸輸送体の発現量を転写レベルで調節していること、さらにpromoter deletion lineを用いた解析によりOsLsi1の転写量の調節に関わるシス配列候補領域がその上流-600bpまでに含まれること明らかにしてきた。本年度はまず転写量の調節に関わるシス配列のさらなる絞り込みを行った。OsLsi1の上流領域を3’側から削ったpromoter deletion lineを用いて、ケイ素に対する応答を調べた結果、形質転換当代を用いた解析においてシス配列候補領域は、-410bpから-450bpの領域に存在する可能性が強く示唆された。さらにその候補領域に結合する転写調節因子の探索を酵母ワンハイブリッドスクリーニングの手法を用いて行い、ポジティブな結果を示すいくつかのクローンを得た。また前年度までの研究により-1420bpから-1600bpの間に存在する可能性が示唆されている内皮細胞外皮細胞特異的発現の制御に関わる領域のさらなる絞り込みのために、内皮細胞外皮細胞特異的に発現するものをレーザーマイクロダイセクションとマイクロアレイ解析を組み合わせた手法を用いて、網羅的な解析を行った。その結果、ケイ酸輸送体Lsi1,Lsi2以外にミネラルトランスポーターを含む数十のトランスポーターをコードする遺伝子が内皮細胞と外皮細胞で高発現していることが明らかになった。本研究により得られた結果は今後のケイ酸輸送体の効率的な発現量および発現部位の制御に寄与できるだけではなく、他の栄養素の吸収の効率化にも貢献できると考える。
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