2011 Fiscal Year Research-status Report
植物の主要なナトリウム吸収経路およびその分子実体の同定
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23780070
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上田 晃弘 広島大学, 生物圏科学研究科, 講師 (10578248)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 塩ストレス / シロイヌナズナ / ナトリウム |
Research Abstract |
本研究課題の目的は,植物ではまだ解明されていない外環境から植物体へのナトリウムの流入機構を明らかにすることである。植物は塩害(塩ストレス)環境下ではその生産性を著しく低下させるため,農業生産上しばしば深刻な影響を引き起こす。よって植物の耐塩性を向上させる試みは重要であるものの,植物がナトリウムをどのようにして吸収するのかが長らく不明であった。本研究では,植物細胞が外部からのナトリウム吸収を担う輸送体の候補として,カチオン輸送体(CCC)に着目して研究を行っている。本年度の研究実績については以下の通りである。1.イネCCC遺伝子のクローニングについては,シロイヌナズナAtCCC遺伝子配列を元にイネにおけるホモログOsCCC1,OsCCC2のクローニングを行った。OsCCC1についてはほぼ全長配列のクローニングを行い,AtCCCとの高い相同性が保存されていることを確認した。OsCCC2については,サイズがOsCCC1の2/3程度と短く,さらなる解析を行っている。2.AtCCC,OsCCC1の発現解析については,環境ストレスに応答したこれらの遺伝子発現の変動をRT-PCRにより解析したところ,AtCCCとOsCCC1はともに高NaClストレス下で発現量が減少することが分かった。3.各種形質転換体の作出については,AtCCCプロモーターGUS解析のための形質転換体はいくつか系統を得ることができた。またAtCCC遺伝子の過剰発現株についても現在,形質転換体の作出を継続中である。 次年度は引き続き,上記研究項目の継続も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画通りではあるが,形質転換体の作出等,実験材料の準備をさらに早めることで,その後の生理学的解析を詳細に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな変更点等はなく,計画通りに研究を継続する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費については発現解析等が順調に進行した分,幾分かの余剰が生じたが,来年度にさらなる詳細な生理学的解析を行う際の消耗品費として利用予定である。
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