2012 Fiscal Year Annual Research Report
硝化作用をモデルとした複合微生物解析と高機能化デザイン
Project/Area Number |
23780077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 晃規 京都大学, 生理化学研究ユニット, 助教 (10537765)
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Keywords | 硝化反応 / 有機質肥料活用型養液栽培 / 複合微生物 / アンモニア酸化菌 / 亜硝酸酸化菌 / DGGE解析 |
Research Abstract |
有機質肥料活用型養液栽培は、微生物源として水中に土壌を少量添加し、有機物の硝化反応を促す硝化工程と、構築した微生物生態系を維持しながら作物を栽培する工程で構成される。まず、微生物源として約50種類の肥料や、培養土のスクリーニングを行い、硝化工程を従来の1ヶ月から、2週間に短縮できるバーク堆肥(微生物源)を選抜した。また、硝化終了後の培養液から回収した微生物群を用いることで、再現性よく迅速な硝化を行えたことから、微生物剤(種菌)としての可能性を示せた。加えて、様々な有機物に対しても、硝化が可能であったことから柔軟性を有していることを明らかにした。さらに硝化工程を繰り返し10世代行い、それぞれの世代の細菌相をDGGE解析により確認した。硝化完了後の細菌相のパターンは硝化を繰り返しても一定の菌相に収斂することを明らかにした。種菌を用いて作物栽培を検討した結果、土壌を微生物源として用いた際と同様の実績を示した。さらに、菌体の大量調製と、硝化特性を維持した状態で種菌の乾燥化に成功し、その実用性、汎用性を高めた。以上、細菌相の再現生と安定性、硝化の柔軟性、栽培実績が確認できたことにより、本微生物剤が有機肥料活用型栽培における種菌として利用できると同時に、土壌栽培時の硝化作用のモデルとして活用できることを明らかにした。 続いて、硝化作用の経時的な変化の解析系のモデル化の構築を検討し、経時的に菌体を分取することで環境動態と硝化反応の菌相推移をDGGE解析により明らかにした。有機質肥料活用型栽培に有用な種菌の調製に成功したことは、資源循環型作物栽培を推し進める成果であると同時に、微生物と植物の相互作用のモデルを提示できたと考えている。一方で、現在種菌として、約1万種の菌が含まれるが、難培養性の菌も多数含まれる。今後、品質管理の面からもハンドリング可能な最小限の微生物のデザインが求められる。
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