2012 Fiscal Year Research-status Report
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23780082
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川崎 健 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (00510299)
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Keywords | 分子生物学 / 植物病原菌 / 青枯病菌 / ファージ |
Research Abstract |
24-1 溶原化周辺領域の取得と解析:23年度に決定した溶原化RSS1ファージ配列の両端からさらにインバースPCRを行い、溶原化領域について取得、解析を行った。24-2 この配列情報を元に、抗生物質耐性マーカーを持つ相同組換えコンストラクトを作製し、これを用い溶原化配列の除去を試みた。その結果、特定の部位に抗生物質耐性マーカーが挿入された株のみが単離された。この部位について詳細な解析をしたところ、野生株RSS1ファージ配列の溶原化領域の両外側に、ファージ関連配列およびdifサイトが存在することを発見した。このことから、自然界から単離したRSS1のオリジナルとして、完全長のRSS0ファージを推定した。予定していた研究とは異なるが、非常に興味深い発見であることからさらなる研究を行った。人意的に誘発させたところ、RSS1とともにRSS0としても誘発・機能することが判明した。すなわち、溶原化機構が未知であったRSS1ファージは、オリジナルとしてRSS0が存在し、このファージが溶原化、誘発を繰り返し、かつ、高い頻度で不完全長RSS1として誘発する(そしてこのファージはおそらく溶原化不能)ことが示唆された。この切り離される領域および誘発メカニズムについては非常に興味深い知見が含まれており、現在論文を作成中である。 また、宿主の病原性を増加させるRSS1とは逆に、病原性を低下させるRSM3ファージについては、その病原性変化に寄与している領域がORF15のリプレッサー様タンパク質であり、これが宿主のクオラムセンシング遺伝子(phcA)に作用することにより病原性の減少を招いていることを明らかとした。この結果をPlant Disease. 2012 96(8):1204-1209および Phytopathology. 2012 102(5):469-477に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
青枯病菌に感染する繊維状ファージRSSおよびRSMによる青枯病菌の病原性変化について (1)Addy, H. S., A. Askora, T. Kawasaki, M. Fujie, and T. Yamada. 2011. The filamentous phage φRSS1 enhances virulence of phytopathogenic Ralstonia solanacearum on Tomato. Phytopathology. 102(3):244-251 (2)Addy, H. S., A. Askora, T. Kawasaki, M. Fujie, and T. Yamada. 2012.Utilization of Filamentous Phage φRSM3 to Control Bacterial Wilt Caused by Ralstonia solanacearum. Plant Disease. 96(8):1204-1209 (3)Addy, H. S., A. Askora, T. Kawasaki, M. Fujie, and T. Yamada. 2012. Loss of virulence of the phytopathogen Ralstonia solanacearum through infection by φRSM filamentous phages. Phytopathology. 102(5):469-477 すでに、これら3報の報告を行えているため。さらにRSSの病原性増強についても大きなヒントを得ることができており、その論文についても作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
RSS1のオリジナルとして発見したRSS0について、RSS1には含まれない領域にコードされる遺伝子(DNAバインディングモチーフを持ち、転写因子と予想される)についてその実際の機能を調べる。さらに、RSS1とRSS0について、宿主へ与える影響について調査する。また、溶原化ファージ領域の除去(あるいはこの転写因子と予想される遺伝子の除去)を行い、ファージ(もしくはこの遺伝子)の消失が宿主に与える影響について様々な条件下での観察を行う。 例:運動性(twitching motility、swarming activity)。増殖速度(植物抽出液中およびCPG培地中)。バイオフィルム形成能。植物病原性等。 これらを通じ、自然界における青枯病菌と、このファージの共存関係について研究を行う。また、RSS様ファージ、RSM様ファージの溶原/誘発機構についての更なる解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬、酵素類、PCRプライマー:培養、分子生物学の実験に用いる。 プラスチック器具、ファージ精製用滅菌フィルターおよびガラス器具一式。 研究成果を関連学会で発表する国内旅費。 研究成果報告の論文作成、国際紙投稿料金。
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Research Products
(9 results)