2011 Fiscal Year Research-status Report
糸状菌のもつOー結合型糖鎖付加タンパク質の同定と機能解明
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23780084
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二神 泰基 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60512027)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | Aspergillus / O-結合型糖鎖 / 細胞壁合成 / Mid2 / kre9 |
Research Abstract |
本研究ではAspergillus属糸状菌のゲノム情報からprotein O-mannosyltransferaseによりO-結合型糖鎖が付加される基質タンパク質を探索し、その機能を解析することで糸状菌の形態形成に関わる分子基盤を解明することを目的としている。本年度はまず、Candida albicansのAls1のホモログ遺伝子を解析した。Als1をクエリとしてBLASTP解析により同定されたAN4897は、シグナル配列、O-結合型糖鎖が付加すると推定されるセリン・スレオニンリッチ領域、Mid2ドメイン、および膜貫通ドメインを有しており、Als1ではなくSaccharomyces cerevisiaeのMid2の特徴を有していた(Futagami and Goto, Commun. Integr. Biol., in press)。Mid2は、Cell Wall Integrity経路のセンサータンパク質として機能することが知られている。A. nidulansの当該遺伝子破壊株は、Congo RedおよびCalcofluorに対して高い感受性を示したことから、細胞壁合成および維持に関与することが示唆された。次に、Saccharomyces cerevisiaeにおいてO-結合型糖鎖が付加することが知られているkre9のホモログ遺伝子としてAN5818を解析した。S. cerevisiaeにおいて、Kre9はβ-1,6-glucanのassemblyに関与している。AN5818の破壊株はCongo RedおよびCalcofluorに対して高い感受性を示し、同様に細胞壁合成系に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Als1、Kre9などの他の生物種においてすでにO-結合型糖鎖が付加することが明らかにされているタンパク質ホモログの解析は進んでいるが、糸状菌に特徴的なO-結合型糖鎖付加タンパク質を同定するに至っていない。以上より"やや遅れている"とした。
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Strategy for Future Research Activity |
Mid2ホモログ(AN4897)は、Cell Wall Integrity(CWI)経路におけるセンサーとしての機能はまだ明らかにはなっていない。そこで、AN4897とCWI下流経路との関係について解析する。また、Aspergillus属糸状菌に特徴的なO-結合型糖鎖付加タンパク質を同定するために、本年度、protein O-mannosyltransferaseをコードするpmtC遺伝子の破壊株を用いた比較プロテオーム解析により、O-結合型糖鎖が付加する可能性のある候補タンパク質が得られている。これらをコードする遺伝子の破壊株を取得して、O-結合型糖鎖の有無と機能解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は若干の研究計画の遅れにより1,966円の繰越額が発生した。次年度は、本繰越額も含めて今後の研究のために必要な分子生物学用試薬および実験器具を購入に使用する。また、研究成果の発表と討論のための学会参加費、学術雑誌への成果投稿経費に使用する。
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