2011 Fiscal Year Research-status Report
深海熱水活動域に生息する化学合成微生物の生育に必須なアルミニウム結合タンパク質
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23780098
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
宮崎 淳一 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, 研究員 (50435848)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アルミニウム結合タンパク質 / 深海熱水活動域 / 硫黄化学合成微生物 |
Research Abstract |
生命の体内には重金属が微量含まれているが、この重金属は酸化還元反応などに従事する酵素タンパク質の活性中心などに配置され、非常に重要な役割を担っている。しかしながら、今まで生命にとって必須と考えられていなかった重金属アルミニウムが、深海熱水活動域において分離・培養された硫黄酸化化学合成独立栄養微生物の全タンパク質中に結合する重金属の中で2番目に多かったこと、そしてその生育に必須であることが明らかとなった。現在までにアルミニウムと結合し機能するタンパク質は知られていない。そこで、本研究はこの硫黄酸化化学合成微生物の全タンパク質からアルミニウム結合タンパク質を微量な重金属を検出可能なICP-MSを利用して探索し、同定することを目的としている。本研究を実施するためには、効率よくかつ多量に、菌体およびタンパク質を回収する必要があること、外部から重金属のコンタミなく実施できることが非常に重要となる。そこで、まず菌体の効率の良い回収方法にとりかかった。その結果、ポンプで新鮮な培地を交換しながら培養することが最も菌体を多量に回収するのにいい方法であることが明らかとなった。さらにそこからタンパク質の抽出も順調にすすみ、重金属のコンタミなく回収することに成功している。今後は、これらを精製カラム等利用して分画し、その都度ICP-MSを行いながら、探索作業を行っていき、最終的には1ないしは数種に絞り込み、アミノ酸配列を解析してアルミニウム結合タンパク質を同定していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は硫黄酸化化学合成微生物の効率よくかつ多量に、菌体およびタンパク質を回収し、外部から重金属のコンタミなく実施できる方法を検討した。その結果、ポンプで新鮮な培地を交換しながら培養することが最も菌体を多量に回収するのにいい方法であることが明らかとなった。タンパク質の回収もうまくいき、重金属類のコンタミは特に見られていない。来年度は同定作業に取りかかるのみなので、おおむね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる来年度は抽出した硫黄酸化化学合成微生物の全タンパク質を陰イオン交換カラムやゲルろ過カラムなどの精製カラムを利用して分画し、その都度ICP-MSを行いながら、探索作業を行っていく。最終的に1ないしは数種の候補に絞り込み、アミノ酸配列を決定することによってアルミニウム結合タンパク質を同定していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
来年度はICP-MSの重金属標準液やタンパク質を溶かし込むのに必要な純度の高い硝酸などの試薬の購入、重金属がコンタミしていない容器などの消耗品の購入に主に充てる予定である。そして同定できたら、本成果を学会において発表する。最後に論文にまとめる予定である。
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