2011 Fiscal Year Annual Research Report
酵母の新規イオン輸送体の解析とオルガネラ膜のイオン輸送体測定技術の基盤構築
Project/Area Number |
23780100
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浜本 晋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10533812)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | イオンチャネル |
Research Abstract |
本研究では、独自に開発した酵母と大腸菌の巨大化法と細胞内小器官パッチクンプ法の併用により、酵母液胞膜に局在する動物TRPチャネルホモログのYVC1チャネル(Ca^<2+>チャネル)の機能解明を行う。TRPチャネルは、哺乳類に存在する痛みや熱などの刺激に応答する陽イオンチャネルとしての機能を担っている。YVC1チャネルはTRPチャネルの原型と考えられており、TRPチャネルの分子メカニズムを解明するための重要な研究対象である。この成果は、生物の種類に関係なく普遍的なイオンチャネルの機能解析法を示すこととなり、疾病や生存維持に関わる動植物輸送体の解明に貢献することを目的としている。 (1)TRPチャネルホモログYVC1の機能解析YVC1の1mMCa2+による活性化を確認している。一方、低濃度の10μMCa2+においては弱い活性化を示す。しかし、還元剤の存在下では大きな活性化を示した。さらなる解析のため、S-S結合を形成するシステイン残基への変異導入による機能解析を行った。その結果、C末端領域に存在するシステイン残基をセリン残基に置換したところ、カルシウムによる活性化は確認されたが、還元剤による活性化能は消失した。以上より、C末端領域のシステイン残基が還元剤による活性化に関与していることを明らかにした。 (2)巨大化酵母の膜タンパク質の発現システムの構築パッチクランプ実験に用いる巨大化酵母に輸送体タンパク質を効率的に発現させるために、酵母の巨大化操作によって導入した輸送体タンパク質遺伝子の発現が誘導される発現系の構築をめざしている。DNAマイクロアレイ解析による一倍体酵母と巨大化酵母の発現パターンを比較した。その結果、複数の遺伝子において巨大化処理を行った際に特異的に5から6倍の発現量の上昇が確認された。これらの遺伝子を候補遺伝子としてより詳細な発現解析を行う。
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