2011 Fiscal Year Research-status Report
糖応答変異体を用いたC/Nバランス制御および葉緑体-核間シグナル伝達機構の解明
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23780108
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田茂井 政宏 近畿大学, 農学部, 准教授 (70340768)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | C/Nバランス / 糖シグナル / インベルターゼ / 葉緑体 |
Research Abstract |
ショ糖を含む培地上でシードリングの緑化が抑制される変異株(sicy-192)は、プラスチド型インベルターゼ(INV-E)の機能獲得型変異株であり、ショ糖添加培地上では、光合成系および窒素同化系遺伝子群の発現がそれぞれ抑制および誘導されていた。これまでに、核コードの光合成系遺伝子の一部の発現はプラスチド遺伝子発現(PGE)を発端としたプラスチドから核への逆行性シグナリング(プラスチドシグナリング)により制御されることが知られている。そこで、sicy-192におけるPGEやプラスチドシグナリングに関与する遺伝子群の発現について調べると共に、プラスチドシグナリングのマスターレギュレーターであるGENOME UNCOUPLED1欠損株(gun1-101)とsicy-192の二重変異株を用いてプラスチドシグナリングを介したC/Nバランス制御機構を解析した。ショ糖添加培地上のsicy-192では、プラスチドコードRNAポリメラーゼの下流遺伝子の発現が特異的に抑制された。PGE阻害剤処理は光合成系遺伝子群の抑制および窒素同化系遺伝子群の誘導を引き起こしたが、この現象はgun1-101では緩和されていた。また、ショ糖添加培地上のsicy-192ではプラスチドシグナリングの下流で機能する転写因子群の発現が抑制されていた。さらに、ショ糖添加培地のsicy-192で見られた光合成系遺伝子群の発現抑制および窒素同化系遺伝子群の誘導は、gun1-101との二重変異株において部分的に回復していた。これらの事実は、INV-Eがプラスチドシグナリングを介したC/Nバランス制御に関与することを如実に示していた。一方、興味深いことに、sicy-192と比較して二重変異株のショ糖感受性は顕著に促進されており、プラスチドシグナリングを介したC/Nバランス変化は、sicy-192の緑化に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究実施計画」に従って研究を進められており、想定される結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通りに進める。特に、マイクロアレイ解析および酵母Two-hybrid systemによる解析に重点を置く予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画に必要な遺伝子実験試薬、生化学実験試薬、植物栽培資材として使用を計画している。また、得られた成果に関する学会発表、論文投稿に際した校閲料としても使用を計画している。
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Research Products
(4 results)