2012 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホリパーゼA2を用いた抗原の構造安定性と抗体産生の相関性の解析
Project/Area Number |
23780110
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
大栗 誉敏 崇城大学, 薬学部, 准教授 (70346807)
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Keywords | ホスホリパーゼA2 / 抗体 |
Research Abstract |
南西諸島に棲息するハブの咬傷治療薬に用いられるハブ毒抗血清は、咬傷患者の出血や溶血活性には効果的であるが、筋壊死にはほとんど効果がない。これは、ハブ毒の主要な成分であるホスホリパーゼA2(PLA2)に対する抗血清中の抗体価が著しく低いことが原因である。本研究では、いかに有効な方法で抗体を作製できるかを突き止めるかが最終目的である。H24年度では、前年度作製したBrCN処理したBPII(以下、BrCN-BPII)についてさらなる解析を行った。BPIIの構造要素でどの部位が細胞死誘導活性に重要かを調べることで、有効な抗体作製のヒントを導き出すというのが目的である。BrCN-BPIIを用いて細胞死実験を行った結果、BPIIは細胞死を強く誘導するのに対し、BrCN-BPIIは細胞死を起こさなかった。また、マウスを用いた筋壊死活性実験において、BPIIは十分に筋壊死活性が見られたのに対し、BrCN-BPIIは筋壊死活性を失っていた。以上の結果から、BrCN処理で影響をうけた領域が細胞死に関与することが明らかとなった。現在解析中のBPIIの立体構造(未発表)を元に推測すると、N末端の1-8ペプチドとMet61は空間的に近接しており、その周辺の立体構造が細胞死誘導に必須な領域であると考えられた。即ち、この領域をターゲットとすれば、有効な抗体作製が可能となるという事を明らかにした。また、一方でアミノ酸変異によって構造安定性を変動させた抗原を作製するために、7つのSS結合を1つずつAlaに置換して欠損させたリコンビナント体の作製に取り組んだ。部位特異的変異導入法により変異を施し、大腸菌によって発現させた。この変異体を用いることにより、安定性と抗体産生の関連性を調べることが可能となった。
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Research Products
(3 results)