2012 Fiscal Year Annual Research Report
「疎水性ナノ反応場」の原理に基づいたフラグメント核酸合成システムの研究
Project/Area Number |
23780113
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
金 承鶴 東京農工大学, 農学研究院, 准教授 (90537127)
|
Keywords | 合成核酸 / RNA / 液相法 / 可溶化 |
Research Abstract |
核酸オリゴマーは、核酸医薬品、ナノ電子ワイヤー、DNA折り紙、DNAテンプレート合成など、革新的な機能とその利用によって、近年、大きな注目を集めている。一方、これらの合成技術は、ホスホロアミダイト試薬を用いた固相法が広く利用されている。当該技術は、不溶性のポリスチレン樹脂やガラスビーズを支持基盤として核酸モノマーを逐次伸長していく方法であり、現在では多様な自動合成機が市販され、医薬品や機能性素材の探索において極めて重要な役割を果たしている。しかし、固相合成法は殆どが少量のプライマー用途に限定されており、近年進展が目覚ましい研究領域においては合成困難な配列が顕著に増加している。とりわけ、各種固相基盤の改善やポリエチレングリコールなどを用いた方法が提案されているものの実践的ではなく、難シークエンスの核酸オリゴマーを確実に合成できる新たな方法論を確立することが急務となっている。 本研究では、従来の合成法では困難な核酸オリゴマーについて、新規核酸合成システムを構築することによって、実践的で波及効果の高い合成プロセスの確立を目指している。 申請者がこれまでに見出した、「疎水性ナノ反応場」の原理に基づく多段階液相合成プロセスを用いることにより、従来合成が困難であったRNAオリゴマーの効率的な合成方法を確立した。本システムは、有機溶媒に可溶な液相支持体を利用することで、反応溶媒において高い反応性を示すと共に、極性溶媒の選別によって目的物質のみを簡便に析出させることを可能にする。これより、固相法に比べカップリング効率が飛躍的に向上するとともに、煩雑な分離操作を著しく簡易化することを可能になった。さらに、本液相支持体は、サブミクロン以下の微細な凝集構造を安定に形成するため、反応促進場として機能し、試薬当量数の大幅な削減や量産化について寄与することを見出した。
|
-
-
-
[Journal Article] Tag-Assisted Liquid-Phase Peptide Synthesis Using Hydrophobic Benzyl Alcohols as Supports2013
Author(s)
Okada, Y.; Suzuki, H.; Nakae, T.; Fujita, S.; Abe, H.; Nagano, K.; Yamada, T.; Ebata, N.; Kim, S.; Chiba, K.
-
Journal Title
Journal of Organic Chemistry
Volume: 78
Pages: 320-327
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-