2012 Fiscal Year Annual Research Report
プローブ分子の創製を基盤とするユビキノンの細胞内動態の解明
Project/Area Number |
23780116
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村井 正俊 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80543925)
|
Keywords | ユビキノン / ミトコンドリア / 複合体-I / 光親和性標識 / Click Chemistry |
Research Abstract |
1. 前年度に引き続き、ミトコンドリアにおけるユビキノンの役割を明らかにする目的で、近年その役割が注目されているミトコンドリアユビキノン結合タンパク質Coq10の解析を行った。 出芽酵母や分裂酵母を用いた近年の研究で、Coq10と呼ばれる新規なタンパク質の存在が明らかになった。ミトコンドリア内膜上に局在するCoq10は、ユビキノン生合成には直接的に関与しないものの、生合成されたユビキノンに“シャペロン的”に作用し、ミトコンドリア内膜中で円滑な電子伝達をサポートしているのではないかと考えられているが、その役割は依然として不明である。前年度に合成したユビキノンプローブを用いて、分裂酵母由来のCoq10を発現させた大腸菌膜標品を光親和性標識した。その結果、化合物1はCoq10に対して特異的に結合していることが明らかになった。本結果は、Coq10がユビキノンに対して高い親和性を有することを明確に実証するものである。 2.ユビキノン結合性タンパク質の解析と平行して、ミトコンドリアNADH-ユビキノン酸化還元酵素における阻害剤結合部位の解析を行った。 複合体-Iに対しては様々な阻害剤の存在が知られ、複合体-Iに高い親和性で作用する化合物は、酵素の機能解明を行う上での強力なツールとなる。本研究では、フェンピロキシメートを鋳型にした光親和性標識プローブを合成した。ウシ心筋亜ミトコンドリア粒子を実験材料として、光親和性標識実験を行った結果、フェンピロキシメートの結合部位は、ユビキノンへの電子ドナーである鉄硫黄クラスターN2近傍に位置する"PSST"と"49 kDa"と呼ばれるサブユニットの境界領域に存在することを明らかにした。
|