2011 Fiscal Year Research-status Report
希少糖をリードとした新規抗がん剤の開発および作用機構の解析
Project/Area Number |
23780117
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
柳田 亮 香川大学, 農学部, 助教 (10598121)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 希少糖 / allose / がん |
Research Abstract |
天然に稀にしか存在しない希少糖は,様々な生理活性を示すことから最近注目されている.特にD-alloseは,がん細胞増殖抑制活性やアポトーシス誘導活性を示す一方,毒性を全く示さないことから,副作用の少ない新奇抗がん剤候補化合物として期待されている.しかしながら,D-alloseの絶対的な生物活性は弱く,作用機構についてもほとんど明らかにされていない.本研究では,6位側鎖の構造最適化および活性異性体構造の解明による強力な生物活性を示すD-allose誘導体の開発ならびに,開発した誘導体の分子プローブ化によるD-alloseの作用機構の解析を目的としている.本年度はまず,6位水酸基をアシル化し疎水性を高めたD-alloseの6位中鎖脂肪酸エステル誘導体のがん細胞増殖抑制活性を,D-alloseに対して比較的高い感受性を示す白血病細胞株MOLT-4Fを用いた,MTTアッセイにより評価した.その結果,D-alloseエステル誘導体がD-alloseよりも10倍以上高い活性を示すことが明らかとなった.次に6位置換基を最適化するための共通中間体を合成した.この共通中間体から,エステルよりも安定性が高いエーテル誘導体,アミド誘導体を合成した.エーテル誘導体はエステル誘導体と同等の活性を示した.炭素鎖長の異なる脂肪酸側鎖を持つエステル誘導体の活性を評価した結果,側鎖炭素数12の誘導体が最も高い活性を示した.来年度は,糖のどの異性体が活性に寄与しているかを明らかにするため,環構造を固定化した誘導体を合成し,本年度と同様に活性評価を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はまず,6位水酸基のアシル化によりD-alloseのがん細胞増殖抑制活性が向上することを明らかにした他,エステル結合よりも安定性が高いエーテル誘導体が活性を保持していること,エステル側鎖の炭素数は12が最適であることを明らかにした.来年度は,糖のどの異性体が活性に寄与しているかを明らかにするため,環構造を固定化した誘導体を合成し,本年度と同様に活性評価を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,D-alloseの環構造を固定化した誘導体を合成し活性評価を行う.環構造の固定は糖1位ヘミアセタール構造のアセタールの変換,環内酸素原子の炭素原子への置換により行う.平成23年度に得られた知見と合わせて,6位置換基,環構造,1位ヒドロキシル基立体配置を最適化したD-allose誘導体を合成する.次に,この誘導体の抗がん活性を,39種類のヒトがん細胞株に対する増殖抑制活性で評価する.本パネル試験による活性評価は,文部科学省・新学術領域研究『がん研究分野の特性等を踏まえた支援活動』の研究班に依頼する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費の主なものは有機合成用試薬,有機溶媒,生物活性試験用試薬類である.その他,研究成果を発表するための旅費として使用する.なお,設備備品の購入予定はない.
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Research Products
(2 results)