2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロン誘導抑制活性を有する微生物代謝産物の合成研究
Project/Area Number |
23780121
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
勝田 亮 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (00553257)
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Keywords | versipelostatin / 生理活性物質 / 天然物合成 / 抗腫瘍 / 抗がん / シャペロン / GRP78 / Claisen転位 |
Research Abstract |
ガンは先進国における三大死因の一つであり、医学が発展した今日でもその治療は困難を極める。したがって有効かつ安全な新規治療法の開発が望まれている。本研究ではガンの仕組みを分子レベルで解明しその根源から治療を行う分子標的治療薬を開発するためその第一段階となる有機化学的研究を実施している。固形ガンは治療が困難なガンのひとつであるが、特殊な環境に適応するため種々のストレスに対する耐性を獲得している。このなかでも重量な役割を果たしていると考えられているのが分子シャペロンGRP78である。本研究ではガン細胞でのGRP78の誘導を阻害する化合物、versipelostatin(VST) Aに着目し、その化学合成および構造活性相関研究を通じてどのように活性が発現するのかを調べ、またより有用な活性を有する物質の創製を目的とし、3年間での本化合物アグリコン部の全合成を目指している。 今回合成研究の標的としたVST Aは分子量約1100からなる複雑な構造を持った化合物である。その特徴としてスピロテトロン酸部分やオクタリン環などの特徴的な構造を含む17員環化合物であり、これにさらにジギトキソースを含む三糖が結合している点があげられる。筆者らは本化合物を合成するにあたり、VSTアグリコンを3つのセグメントに分割して合成した後に最終的に結合形成を行う集約的合成法を採用している。平成24年度までにこれらの各セグメントの合成法の開発に成功しており、平成25年度にはこれらの連結実験によるVSTアグリコンの合成を計画した。 平成25年度の実績として、天然型の立体化学を有するこれらすべてのユニットを合成することに成功した。VSTアグリコンの合成には至っていないものの、VSTのC10-C21を除く部分の骨格を構築することに初めて成功し、VST合成における極めて重要な知見を得るに至った。
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