2013 Fiscal Year Annual Research Report
母ラットの成長期からの潜在的亜鉛欠乏が摂食・睡眠および仔の代謝・行動に及ぼす影響
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23780126
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
後藤 知子 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00342783)
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Keywords | 潜在的亜鉛欠乏 / ラット / 摂食 / 糖代謝 |
Research Abstract |
母ラットの成長期からの潜在的亜鉛欠乏が、摂食・睡眠および仔の代謝・行動に及ぼす影響を明らかにするため、成長期から妊娠期・授乳期にわたり潜在的亜鉛欠乏ラットを作出し検討する予定であった。しかし、ラットに成長期から長期にわたり亜鉛欠乏食を給餌すると暗期自発行動量が著しく低下し、出生率低下、喰殺、育児放棄などが認められ検討が難しいことが示された。そこで、成長期ラット(SD系雄ラット4週齢)を用いた「成長期からの潜在的亜鉛欠乏が摂食・睡眠に及ぼす影響」と、妊娠ラット(SD系雌ラット10週齢)を用いた「妊娠期からの潜在的亜鉛欠乏が仔の生活習慣性代謝に及ぼす影響」をそれぞれ検討した。 (1)成長期からの潜在的亜鉛欠乏が摂食・睡眠に及ぼす影響 (a)糖溶液嗜好性に及ぼす影響:ラットに亜鉛欠乏食を給餌すると速やかに摂食量低下、炭水化物摂取量低下が認められる。そこで亜鉛欠乏食給餌ラットの糖溶液嗜好性を経日的に追跡した結果、亜鉛欠乏食給餌4日目よりマルトース・マルトオリゴ糖・グルコース溶液を嗜好した。(b)オレキシン分泌に及ぼす影響:暗期に視床下部外側野の透析液中オレキシン(摂食促進作用、睡眠・覚醒の維持作用)濃度変動を追跡した結果、亜鉛欠乏食給餌(4日目)ラットで有意に低下し、亜鉛欠乏食給餌ラットの摂食量低下にオレキシン分泌低下が関与していることが示唆された。(c)明期自発行動量に及ぼす影響:自発行動量を追跡した結果、暗期(活動時)自発行動量に対する明期(睡眠時)自発行動量は、亜鉛欠乏食給餌12日目に有意に上昇し、それ以降、高値を維持した。 (2)妊娠期からの潜在的亜鉛欠乏が仔の糖代謝に及ぼす影響:妊娠期母ラットへの低亜鉛食給餌は、仔の成長期における摂食量・体重の増加、インスリン感受性の上昇、成熟後におけるインスリン抵抗性の上昇を引き起こし、生活習慣病の発症に関与している可能性が考えられた。
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