2012 Fiscal Year Annual Research Report
バイオフィルムの形成を阻害する新規糖付加ペプチドの機能解析と利用
Project/Area Number |
23780137
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野間 誠司 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40392071)
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Keywords | 糖付加 / ペプチド / バイオフィルム |
Research Abstract |
これまでに、メイラード反応により糖付加した食品由来タンパク質を分離源として得た新規ペプチドの中から黄色ブドウ球菌のバイオフィルム(BF)の形成を阻害するペプチドをスクリーニングし、LK(Glc)G (Kのε-アミノ基にGlucoseを付加)を得た。また、その作用機構について検討を行ってきた。 阻害活性の発現に重要なペプチドの構造を明らかにすることを目的として、まずKのε-アミノ基に糖(Fructose、Maltose)を付加した時のBF阻害活性を調べた。その結果、Fructose、Maltoseを付加しても、Glucoseを付加した場合と同等のBF形成阻害作用が認められた。次に、Glc付加時のBF阻害作用が、Kのε-アミノ基の修飾に伴う等電点の変化に起因しているのかを調べるために、当該アミノ基をアセチル化したLK(Ac)GのBF阻害作用を調べた結果、BF形成阻害作用は認められなかった。また、Lのα-アミノ基をアセチル化した場合、Lのα-アミノ基とKのε-アミノ基の両方をアセチル化した場合についても、BF形成阻害作用は認められなかった。これらの結果より、LKGのBF阻害作用が発現するためにはKのε-アミノ基が糖類によって修飾されていることが重要であることが示唆された。 次に、LK(Glc)GのLを欠失させたK(Glc)G、Gを欠失させたLK(Glc)の BF形成阻害活性を調べた。その結果BF形成阻害活性の強さはLK(Glc)G>LK(Glc)>K(Glc)Gの順となった。したがって、糖付加だけでなくペプチドの鎖長もBF形成阻害活性に重要であることが明らかになった。
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