2011 Fiscal Year Research-status Report
リンパ管脂質輸送制御因子の探索とメタボリックシンドローム予防への展開
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23780138
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
城内 文吾 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00548018)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 小腸 / リンパ管 / 半永久胸管リンパカニュレーション手術 |
Research Abstract |
食事脂肪の吸収・輸送のメカニズムはトリアシルグリセロール、コレステロール及びリン脂質に大別され、研究が進められてきた。これまでに、小腸細胞からの脂質輸送がリンパ管のシグナルによって制御されるという知見は見受けられない。本研究の目的は半永久胸管リンパカニュレーション手術を施したラットを用いてリンパ流量や脂質輸送量に影響を与える物質を探索し、リンパ管のトランスクリプトーム解析により選抜物質のリンパ管脂質輸送制御機構を解明すること、その制御機構がメタボリックシンドローム予防に有効であるか確かめることである。 本年度は、食事脂質のリンパ輸送に及ぼすグアーガムの影響について評価した。Sprague-Dawleyラットに半永久胸管リンパカニュレーション手術を施し、実験食摂取後開始と同時に7時間にわたり経時的にリンパ液を採取し、リンパ流量及び脂質量を測定した。また、in vitro試験により、グアーガムとセルロースの抱水能、膨潤度及び粘度を測定した。その結果、7時間の累積リンパ流量及び脂質輸送量はセルロース群と比較して、グアーガム群で有意に低下した。また、グアーガムの抱水能、膨潤度及び粘度はセルロースと比較して有意に高い値を示した。以上のことから、グアーガムが小腸での水の挙動に関連した物理化学的特性によりリンパ流量を低下させ、ひいては脂質輸送量を低下させることを明らかにした。また、酸化コレステロールのリンパ吸収に及ぼすコレステロール吸収阻害剤の影響についても半永久胸管リンパカニュレーション法で評価を行った。その結果、リンパ流量に変動は認められなかったが、コレステロール吸収阻害剤が数分子種の酸化コレステロールのリンパ輸送量を低下させることを見出した。今後は、選抜物質のリンパ管脂質輸送制御機構の解明を目指し、リンパ管のトランスクリプトーム解析を行い、リンパ管脂質輸送制御因子を探索する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はリンパ流量ならびに脂質輸送量を低下させる物質を選抜することができた。次年度には、リンパ管のトランスクリプトーム解析に進むことができる。以上のことより、おおむね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究において、リンパ流量ならびに脂質輸送量に影響を与える物質を選抜し、リンパ管の採取まで済ませている。今後は、リンパ管脂質輸送制御機構の解明を目指し、リンパ管のトランスクリプトーム解析を行い、リンパ管脂質輸送制御因子を探索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はリンパ流量ならびに脂質輸送量に影響を与える物質のスクリーニングを行った。物質のスクリーニングが順調に進み、当初予定していた実験動物および分析試薬の費用を抑えることが出来たため、次年度へ繰越した。 次年度は、リンパ管のトランスクリプトーム解析を行う予定である。したがって、次年度の研究費は、主にDNAマイクロアレイ解析に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)