2011 Fiscal Year Research-status Report
QPRTノックアウトマウスを用いた真正ナイアシン欠乏症とその発症機構の解析
Project/Area Number |
23780140
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
佐野 光枝 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (20524911)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 基礎栄養学 / 水溶性ビタミン / ナイアシン |
Research Abstract |
トリプトファン-ナイアシン転換経路の分岐点に位置するキノリン酸を代謝する酵素であるキノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPRT)を欠損したマウスを用て,ナイアシンのみを欠乏した場合の個体への影響について解析することで,食事性ナイアシン単独の機能について明らかにする. QPRTノックアウトマウスにナイアシン欠乏飼料を与えることでナイアシン欠乏症を起こし,その状態での生体に起きた異常について解析するために,飼料摂取量,体重増加量を測定した.ナイアシン欠乏により体重及び飼料摂取量は大きく減少することが確認された.またナイアシンを含んだ通常飼料で飼育した場合と比較してナイアシン欠乏飼料を与えたノックアウトマウスにのみナイアシンの最終代謝産物(N1-メチルニコチンアミド,N1-メチル-4-ピリジン-3-カルボキシアミド(4-Py),N1-メチル-2-ピリジン-5-カルボキシアミド(2-Py),ニコチンアミド-N-オキシド)の尿中排泄量やナイアシンから合成されるNADやNADPの血中及び肝臓中含量が枯渇していることを確認した. 更にペラグラの特徴的症状である皮膚炎や消化器疾患の有無を中心に,複数の臓器を採取し,組織科学的手法(ヘマトキシリン-エオシン染色)によって観察し,一部の消化器組織への影響が観察された.また同時に肝臓をサンプルとして網羅的メタボローム解析を行い,ナイアシン欠乏によって影響を受ける物質の探索を行った.ここで得られた候補物質の一部について,確認のために単体での定量を行う予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トリプトファン-ナイアシン転換経路の分岐点に位置するキノリン酸を代謝する酵素であるキノリン酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(QPRT)を欠損したマウスを用いて,ナイアシンのみを欠乏した場合の個体への影響について解析することで,食事性ナイアシン単独の機能について明らかにするために次の実験を行った.(1)QPRTノックアウトマウスにナイアシン欠乏飼料を与えることでナイアシン欠乏症を起こし,その状態での生体に起きた異常について解析するために,飼料摂取量,体重増加量を測定.(2)ナイアシンの最終代謝産物(N1-メチルニコチンアミド,N1-メチル-4-ピリジン-3-カルボキシアミド(4-Py),N1-メチル-2-ピリジン-5-カルボキシアミド(2-Py),ニコチンアミド-N-オキシド)の尿中排泄量やナイアシンから合成されるNADやNADPの血中及び肝臓中含量を分析.(3)ペラグラの特徴的症状である皮膚炎や消化器疾患の有無を中心に,複数の臓器を採取し,組織科学的手法(ヘマトキシリン-エオシン染色)によって観察.(4)肝臓をサンプルとして網羅的メタボローム解析を行い,ナイアシン欠乏によって影響を受ける物質の探索. 平成23年度は予定どうり上記(1)~(4)の全てを実施し,おおむね良好な結果が得られている.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に観察されたナイアシン欠乏状態での生体への影響をふまえ,その影響の発症機構について明らかにする.まず組織科学的解析によって観察された影響について,該当する臓器や組織特異的遺伝子のRNAの発現についてIn Situ Hybridization法もしくは免疫組織化学法によりタンパク質の発現を調べる.また血中メタボローム解析によって得られた,ナイアシン欠乏によって影響を受ける物質について,その物質の肝臓中だけでなく血液中含量と尿中排泄量を定量的に測定し,その物質が血中で増加もしくは減少する機構とナイアシンの生体機能についてIn Situ Hybridization法により得られた結果も含めて仮説を設ける.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請時の予定どうりに以下のように研究費を使用する予定である.物品費(85万円):繁殖用マウス,マウス飼育に関して必要な消耗品(ケージ,餌,床敷,消毒液など),HPLC用カラム,試薬,抗体,プラスチックチューブなどの実験消耗品,ガラス器具など旅費(5万円):成果発表のための学会発表旅費人件費・謝金(20万円):データー解析,実験補助者への謝金その他(20万円):DNAシークエンス解析,プライマー合成費,論文投稿費
|
Research Products
(7 results)