2013 Fiscal Year Annual Research Report
QPRTノックアウトマウスを用いた真正ナイアシン欠乏症とその発症機構の解析
Project/Area Number |
23780140
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
佐野 光枝 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (20524911)
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Keywords | 基礎栄養学 / 水溶性ビタミン / ナイアシン |
Research Abstract |
QPRTノックアウトマウスにナイアシン欠乏飼料を与えることでナイアシン欠乏症を起こし,その状態での生体に起きた異常について解析した.ここではナイアシンを含んだ通常飼料で飼育した場合と比較してナイアシン欠乏飼料を与えたノックアウトマウスにのみナイアシンの最終代謝産物(N1-メチルニコチンアミド,N1-メチル-4-ピリジン-3-カルボキシアミド(4-Py),N1-メチル-2-ピリジン-5-カルボキシアミド(2-Py),ニコチンアミド-N-オキシド)の尿中排泄量やナイアシンから合成されるNADやNADPの血中及び肝臓中含量が枯渇していることを定量的に確認した.またペラグラの特徴的症状である皮膚炎や消化器疾患の有無を中心に,全身を組織科学的手法(ヘマトキシリン-エオシン染色など)によって観察した.そしてその結果小腸の内輪層が薄くなっていることが確認された.また同時に肝臓をサンプルとして網羅的メタボローム解析を行い,ナイアシン欠乏によって影響を受ける物質の探索を行った. 平成23年度に観察されたナイアシン欠乏状態での生体への影響をふまえ,その影響の発症機構について明らかにするために,肝臓中のメタボローム解析によって注目したGABA合成経路について関連物質の血液及び肝臓中含量の定量分析を行ったが,コントロール群とナイアシン欠乏群との間に有意な差は認められなかった. 本研究により,ナイアシン欠乏によって小腸の内輪層が影響を受け,ペラグラの特徴的症状である消化器疾患が現れることが示唆された.またナイアシンによって影響を受ける代謝経路は栄養素欠乏の影響を同時に受けていることから明らかにすることはできなかったが,今後食餌摂取量が減少しない時点での解析を更に進める必要があることが明らかとなった.
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