2012 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンB-12の腎臓における栄養素再吸収制御機能の解明
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23780144
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小林 謙一 東京農業大学, 応用生物科学部, 助教 (80434009)
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Keywords | ビタミンB-12 / ビタミンA / ビタミンD / 腎臓 / メガリン / リン代謝 / 骨代謝 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
本研究の目的は、腎臓におけるMegalinを介した栄養素再吸収にビタミンB12が必須であることを実験的に証明することである。そこで、以下のような実験を行った。 第1として、ビタミンB12欠乏ラットを用い、対照群、欠乏群、ビタミンB12再供給群に分けて、飼育を実施して解析を行った。その結果、ビタミンB12依存的なビタミンA、無機リンの変動を見出した。そのメカニズムを解析するために、レチノール結合タンパク質(RBP)の挙動を検討した。その結果、腎臓におけるMegalinを介した再吸収が、欠乏群で顕著に抑制されていたのに対し、肝臓ではRBPの遺伝子発現がビタミンB12依存的に変動していた。従って、RBPは、ビタミンB12依存的な制御を受けていること、その制御機構が腎臓と肝臓では全く異なることを初めて見出した。また、無機リンの変動に関与するNaPi共輸送体の挙動を検討したが、明確な結論を導き出すまでには至らなかった。ビタミンDの変動について解析した結果、ビタミンD結合タンパク質(DBP)の細胞膜上に蓄積していたことから、再吸収が抑制されている可能性が示唆された。しかし、血中ビタミンD濃度の変動は認められなかった。 第2に、培養細胞レベルで検討する目的で、ビタミンB12欠乏ラットの血清を用いた実験を計画していたが、充分量の血清を得ることができなかった。そこで、ビタミンB12をアデノシル型とメチル型の2つの誘導型に変換する重要な酵素であるMMADHC遺伝子を、siRNAを用いてノックダウンさせた安定発現株を構築した。その細胞内におけるRBPの挙動を検討した結果、RBPがシス・ゴルジ体に顕著に蓄積していることが認められ、細胞内輸送が阻害されていた。またその細胞に、SAMを添加すると輸送能が回復した。従って、ビタミンB12が細胞内輸送にも何らかの機能を有する可能性が示唆された。
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