2011 Fiscal Year Research-status Report
食品成分の機能性を決定づけるタンパク質の探索:システイン残基の酸化修飾に着目して
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23780145
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
細野 崇 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (80445741)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | レドックス制御 / システイン残基 / 薬物代謝酵素 / CYP2E1 |
Research Abstract |
いくつかの食品由来成分はタンパク質のシステイン残基と共有結合し、その分子機能を調節することで生理活性を示すことが報告されている。天然物に由来する抗がん物質の研究を進める中で、我々はガーリックの香気成分である diallyl trisulfideに強いがん細胞の増殖抑制活性を見出した。Diallyl trisulfideをヒト大腸がん細胞に添加して培養すると、細胞周期の停止による増殖抑制とアポトーシスが誘導されることを報告した。さらにdiallyl trisulfideが細胞分裂に重要なタンパク質であるβ-tubulinのシステイン残基をS-allyl修飾することで紡錘糸の形成を阻害し、細胞分裂を阻害することを明らかにした。本研究ではdiallyl trisulfideをモデル化合物として用い、システイン残基と共有結合するタンパク質を探索・同定、タンパク質機能に及ぼす影響を解析することを目的とした。 本年度はdiallyl trisulfideによるシステイン残基を酸化的に修飾するタンパク質の探索を行い、薬物代謝酵素の一つであるCYP2E1を同定した。Diallyl trisulfideはCYP2E1を酸化修飾することでその活性を阻害すること、CYP2E1の活性阻害により解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンによる肝細胞毒性を抑制することを見出した。現在、diallyl trisulfideの標的タンパク質の同定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、タンパク質システイン残基を酸化的に修飾するタンパク質を見出した。さらに酸化修飾の結果、タンパク質の機能が低下することを見出すことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
Diallyl trisulfideによる酸化修飾の標的タンパク質の検索を続ける。同定されたタンパク質について、酸化修飾によりその機能が阻害されるか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験に使用した試薬をメーカーから購入するのではなく、有機合成によって調製したため当該研究費が生じた。本年度も酸化修飾タンパク質を検索するためゲルの蛍光染色液やタンパク質消化酵素の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)